卓球のペンホルダーとは?|種類・握り方・メリットを初心者向けに解説

ペンホルダーは、ラケットを鉛筆のように握るグリップスタイルです。フォアハンドの威力とコンパクトなスイングが最大の強みで、日本や中国のトップ選手が長年愛用してきた伝統的なスタイルでもあります。

「シェークとどう違うの?」「バックハンドは打てるの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、ペンホルダーの種類・握り方・メリット・デメリット・おすすめラケットまで、初心者から中級者に向けてまとめて解説します。

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目次

卓球のペンホルダーとは

ペンホルダーとは、まるで筆記用具のペンを持つように、親指と人差し指でグリップを挟み込む持ち方の総称です。その独特な握り方が名前の由来となっています。

日本には1902年(明治35年)頃に卓球が伝わりました。1923年(大正12年)の第1回全日本選手権で、ペンホルダーを使った鈴木貞雄選手が優勝したことをきっかけに、日本国内で広く普及していきました。1980年代頃まではアジアの選手の大半がペンホルダーを使用していたほどです。

現在はシェークハンドが世界の主流となっていますが、アジア特有のグリップとして今も根強い愛好家が存在します。ペンホルダーには大きく分けて日本式・中国式・反転式の3種類があり、それぞれ特徴や向いているプレースタイルが異なります。次のセクションで詳しく解説していきます。

ここで紹介するグリップの種類や基本知識は、日本卓球協会(JTTA)の公式情報をもとにしています。(出典: 日本卓球協会「競技規則」)

シェークハンドとの違い

ペンホルダーとシェークハンドは、グリップ形状・両面の使い方・体感重量の3つの軸で明確に異なります。どちらを選ぶかは「フォア主体で攻めたいか」「バックも均等に使いたいか」という戦術の方向性で決まります。各項目でその根拠を具体的に説明していきます。

ラケットのグリップ形状の違い

ペンホルダーは、ペンを握るように親指と人差し指でグリップを挟み込む持ち方です。グリップ部が細く短いのが特徴で、日本式と中国式で形状が異なります。

種類グリップの特徴ブレード形状
日本式ペン人差し指を引っかけるコルク突起あり角ばった形が多い
中国式ペンコルク突起なし。シェークのグリップを短くしたような形丸みのある形が多い
シェークハンド握手するように5本指で包み込む。FL・ST・ANなどのバリエーションあり比較的大きく左右対称

ペンホルダーはヘッド(打球面)が自然と下がる構造になるため、手首の可動域がシェークより広くなります。ラケット面の向きをダイナミックに変えられるのが大きな強みです。

日本卓球協会(JTTA)の公式FAQによると、打球時にラケットを握っていれば持ち方・握り方に関する規定条文はなく、ペンでもシェークでも合法です。 (出典: 日本卓球協会「よくある質問(FAQ)」)

体感重量・扱いやすさの違い

同じラケットでも、持ち方や貼るラバーの枚数で体感重量が変わります。初心者がどちらを選ぶかに直結するポイントなので、しっかり確認しておきましょう。

  • 日本式ペン(片面ラバー):ラバー1枚分だけ軽く、素早いスイングがしやすい
  • 中国式ペン(両面ラバー):ラバー2枚になり重量が増す。スイングスピードが落ちやすい
  • シェークハンド(両面ラバー):ラバー2枚でもグリップを5本指で握るため、重さが手全体に分散されやすく体感重量の差が生じる場合がある

ペンホルダーは指先で支える持ち方のため、重量のあるラケットほど「重く感じやすい」傾向があります。裏面打法を取り入れる場合は、総重量160〜170g前後が実用上の目安とされています。

シェークハンドは「自然に握れる・面が固定されやすい」という特性から、初心者が最初の1本に選ぶケースが多いのが現状です。扱いやすさという点ではシェークに軍配が上がります。

バックハンドとフォアハンドの使い勝手の違い

グリップの違いは、フォアとバックそれぞれの打ちやすさに直接影響します。ここが「どちらを選ぶか」の核心です。

フォアハンドの場合

ペンホルダーはヘッドが下がった状態から打球するため、ラケットがしなるようにインパクトでき、シェークよりも強烈な回転をかけやすい構造です。フォア主体で前陣から攻める選手に向いています。

バックハンドの場合

片面ペンはラバーのない裏面で打つため、強打が難しくなります。バックに来たボールをフォア側に回り込んで処理する戦術が中心になります。

中国式ペンで裏面にもラバーを貼る「裏面打法」を使えば、シェーク同様の両ハンド攻撃が可能です。ただしラケット重量の増加と、フォア・バックの切り替えの難しさが課題になります。

シェークハンドはラケットを返さずそのままバックを打てるため、現代の高速ラリーへの対応に優れています。ミドル(体の正面)のボール処理は、手首の自由度が高いペンホルダーが比較的対処しやすいとされています。

初心者向け:グリップ選びの判断基準
  • ペンホルダー向き:フォア主体の前陣攻撃型を目指したい・手首を使ったプレーに興味がある
  • シェークハンド向き:バックも含む両ハンドでバランスよく攻めたい・最初から扱いやすさを重視したい
  • どちらか迷ったら、まずシェークで基礎を固めてから転向を検討するのも一つの手

ペンホルダーの種類と特徴

ペンホルダーはグリップの形状によって、日本式・中国式・反転式の3種類に大別されます。それぞれ打ち方の特徴や向いているプレースタイルが異なるため、自分のプレースタイルに合った種類を選ぶことが大切です。各タイプの違いを順番に確認していきましょう。

日本式ペンホルダー(日ペン)の特徴

日本式ペンホルダー(日ペン)は、グリップ部分に人差し指を引っかけるコルクの突起があり、表面(フォア面)のみにラバーを貼るのが基本です。フォア・バック両方を同じ面で打ちます。

素材は檜(ひのき)単板が伝統的に人気で、吸い付くような打球感と高い反発力が特徴です。軽量でスイングスピードを出しやすい一方、バックハンドで強打しにくい点が最大の弱点となります。日本・韓国・台湾などを中心に普及しています。

ブレードの形状は角型・角丸型・丸型の3種類があり、それぞれ向いているプレースタイルが異なります。

角型ペンホルダー

ブレード先端が角ばった形状で、重心が先端寄りになっています。遠心力を活かした強力なフォアハンドドライブやスマッシュに向いています。

その分、台上の小回りや切り替えは丸型より劣ります。攻撃的なプレースタイルを好む方に選ばれやすい形状です。

角丸型ペンホルダー

角型と丸型の中間的な形状です。ショートの安定感とドライブ・スマッシュのしやすさを両立したオールラウンドタイプで、選手レベルを問わず幅広く使われています。

日ペンをこれから始める方には、まず角丸型から試してみるのがおすすめです。

丸型ペンホルダー

ブレード先端が円形で、重心がグリップ寄りになっています。小回りが利き、台上プレーやフォア・バックの切り替えがスムーズなのが強みです。

一方、遠心力を使う打法や台から離れた打ち合いでは角型に劣ります。守備的・台上主体のプレースタイルに向いています。

中国式ペンホルダー(中ペン)の特徴

中国式ペンホルダー(中ペン)は、シェークハンドのグリップを短く切り落としたような形状です。コルクの突起がなく、わしづかみ気味に握れます。ブレードはシェークハンドに近い楕円形です。

最大の特徴は両面にラバーを貼れる設計になっていること。裏面(バック面)を使ったバックハンド打法(裏面打法)が可能で、フォア攻撃とバック攻撃を両立できます。

両面ラバーの分だけ日本式より重くなるため、裏面ラバーを薄めにするなどで総重量を管理することが重要です。また、グリップに引っかかりがない分、手首の使い方(グリップワーク)がしやすい面もあります。

中ペンで世界的実績を残した選手たち
  • 劉国梁(1999年世界選手権優勝)
  • 王皓・馬琳(裏面打法の第一人者)
  • フェリックス・ルブラン(2024年パリ五輪男子シングルス銅メダル)

現在も世界のトップシーンで活躍する選手が使用しており、高いポテンシャルを持つグリップです。

反転式ペンホルダーの特徴

反転式ペンホルダーは、グリップ部がえぐれた形状になっており、試合中にラケットを反転させて使うことを前提とした設計です。

両面に異なるラバー(粒高ラバーと裏ソフトなど)を貼り、反転することで相手の回転を変化させて翻弄する戦型に向いています。日本式ペンの「片面しかラバーを貼れない」弱点を、別のアプローチで解消した種類といえます。

反転式ペンの注意点
  • 2種類のラバー特性を理解して使い分ける必要があり、初心者には難易度が高い
  • 市場での製品ラインナップは日本式・中国式に比べて少ない
  • 形状は角丸型が選ばれることが多い

反転式はある程度プレー経験を積んでから挑戦する方が、ラバーの特性を活かしやすいでしょう。

3種類の特徴まとめ
種類両面ラバー主な強み向いているプレースタイル
日本式(日ペン)×(片面)軽量・スイング速度フォア攻撃型・台上主体
中国式(中ペン)両ハンドドライブ両ハンド攻撃型
反転式○(異質)回転変化で翻弄変化系・異質攻守型

ペンホルダーのメリット

ペンホルダーは「フォアが強い」というイメージがありますが、その理由はグリップ構造にあります。ここではデメリットは扱わず、ペンホルダーならではの3つの強みに絞って整理します。

メリット①:フォアハンドに強い回転をかけやすい

ペンホルダーはラケットヘッド(先端)が下がった状態から打球するため、スイング時にラケット面が大きくしなります。このしなりが、打球に強い回転を生み出す源です。

さらに、手首の可動域がシェークハンドより広いのも大きな特徴。前腕のひねりと手首の動きが合わさることで、多角度から回転をかけられます。

フォアハンドドライブやスマッシュの回転量・威力は、シェークと明確に差別化できるポイントです。

手首の自由度の高さが、ペンホルダー最大の武器といえます。

メリット②:ラケットが軽く手首を使いやすい

日本式ペン(片面ラバー)は、シェークハンドや中国式ペン(両面ラバー)と比べて軽量になりやすい傾向があります。この軽さが、素早いスイングを可能にします。

一方、シェークハンドは5本指でグリップを握るため、手首の可動域が自然と制限されやすいという構造的な特性があります。ペンはその逆で、手首のスナップを存分に使えます。

  • 台上の細かいボールタッチがしやすい
  • 手首のスナップを活かした素早い動作ができる
  • フォアとバックの素早い切り替えに対応しやすい(日ペン片面限定)

メリット③:台上プレーやサービスが有利になりやすい

手首の自由度が高いため、同じフォームから上回転・下回転・横回転など異なる回転のサービスを出し分けやすいのが強みです。

シェークの選手はサーブ時にグリップの持ち方を変える場合がありますが、ペンはそのまま次のプレーへ移行できます。サーブからの展開がスムーズになりやすい理由の一つです。

また、台上のフリック(短いボールを強く弾く技術)やストップ(相手コートの短い位置に落とす技術)など、細かいボールタッチを要する小技も得意です。体の正面(ミドル)に来たボールへの対処もシェークより比較的しやすく、前陣速攻型のプレースタイルと特に相性が良い傾向があります。

ペンホルダーの3つのメリットまとめ
  • 手首の自由度が高く、フォアハンドに強い回転をかけやすい
  • 日ペン片面は軽量で素早いスイングや細かいタッチがしやすい
  • サービスの多彩さ・台上の小技で前陣速攻型と相性が良い
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ペンホルダーのデメリット

ペンホルダーの弱点は、大きく2つに集約されます。どちらもバック側の処理に関わる構造上の課題です。事前に把握しておくと、練習の優先順位を決めやすくなります。

デメリット①:バックハンドで強く攻めにくい

日本式ペンはラバーが片面のみのため、バック側のボールは手首を返して打球する必要があります。この動作は習得に時間がかかり、シェークのバックハンドと比べて強打が出しにくい構造です。

特に速くて低い球が来た場合のバックハンドドライブは難易度が高く、攻撃力の差がはっきり出ます。そのため、バック側に来たボールをフォア側に回り込んで処理する「回り込み戦術」が基本になり、フットワークへの負担が増します。

中国式ペンは裏面にもラバーを貼り、「裏面打法」でこの弱点を補えます。ただし裏面打法の習得難易度は高く、ラケット重量が増すことも課題になります。

裏面打法・バックショートの具体的な打ち方は、後述の「ペンホルダーの打ち方」セクションで詳しく解説しています。

デメリット②:バック側の広いエリアをカバーしにくい

ペンホルダーの構造上、バック側の広いコースを守るにはシェーク以上の移動量が必要です。現代の高速ラリーでバック側を集中的に攻められると、守りきれない場面が増えます。

また、チキータ(ラケット裏面を使う台上技術)は主にシェーク向けの技術のため、バック側の台上での先手争いでも不利になりやすい点も見逃せません。

歴史的にも、1989年ドルトムント世界卓球でワルドナー・パーソンらスウェーデン勢(シェーク)が中国のペン選手に勝利した要因のひとつとして、バック下回転への対応の難しさが挙げられています。

バック側の弱点を補う3つの方向性
  • バックショートの安定化:台上でラリーを途切れさせない守備の土台を作る
  • 裏面打法の習得(中国式ペン):バック側からも先手を取れる攻撃力を加える
  • 回り込みフォアの強化:フォアで強打できる場面を増やし、弱点をカバーする

それぞれの具体的な打ち方は、後述の「ペンホルダーの打ち方」セクションで解説します。自分のプレースタイルに合った克服策を選んでみてください。

ペンホルダーの握り方・持ち方

日本式・中国式ともに、親指と人差し指でブレードの付け根を挟むように持つのが基本です。握り方の土台は共通しており、違いはコルク突起の有無と裏面の指の使い方にあります。

ここでは正しい指の位置 → よくあるNG例 → グリップのカスタマイズという順番で解説します。自分の握り方と比べながら確認してみてください。

基本の握り方(正しい指の位置)

まず、親指と人差し指の2本でグリップとブレードの付け根を挟みます。2本の指がくっつかないよう、均等に力を入れるのがポイントです。

裏面には中指・薬指・小指の3本を添えて支えます。小指は薬指に軽く添える程度で、ラケットに直接当てなくてOKです。指は軽く曲げておきましょう。

握る強さは「少し引っ張ったらスッと抜けそう」なくらいの軽さが目安。手首が自由に動くかどうかが正しく握れているかの判断基準になります。

日本式の場合

グリップのコルク突起に人差し指を引っかけるように添えます。この突起が安定感を生み、フォア打ちのときに力が逃げにくくなります。

突起に指が自然にフィットする感覚があれば、正しい位置に持てているサインです。

中国式の場合

コルク突起がないため、グリップをやや「わしづかみ」に近い形で握ります。裏面打法がしやすいよう、中指・薬指を裏面に回しやすい持ち方を意識しましょう。

裏面に指を多く回せるほど、バックハンドドライブ(裏面打ち)の際にラケット面が安定します。

チェック方法:握った状態で手首を上下左右に動かし、ラケットがスムーズに動くか確認しましょう。動きが硬いと感じたら力が入りすぎているサインです。

よくあるNG例と修正ポイント

握り方のミスは、手首の可動域が狭くなる・ボールが指に当たるといった症状として現れます。以下のNG例と照らし合わせてみてください。

よくあるNG例
  • 親指と人差し指をくっつけてしまう:手首の可動域が狭くなり回転がかけにくくなる。2本の指を離して均等に力を入れること
  • 裏面の指を伸ばしてまっすぐにしてしまう:バックで打つ際にボールが指に当たりやすい。指は軽く曲げて添えるだけにする
  • 全指に力を込めてきつく握りすぎる:手首が固まり、台上の細かいプレーができなくなる。リラックスした握りを意識する
  • 小指をラケットに当てて支えてしまう:小指は薬指に添えるだけにとどめ、ラケットには直接触れない

修正の共通基準は「手首がスムーズに動くかどうか」。握り方に迷ったらこのセルフチェックを繰り返しましょう。

グリップ削りで握りを最適化する方法

ペンホルダーはグリップ形状がプレーに直結するため、市販品を自分の手に合わせて削る選手が多くいます。シェークに比べてグリップ形状の影響が大きいのがペンホルダーの特徴です。

削り作業の基本的な流れは以下のとおりです。個人差やラケットの素材によって仕上がりが異なるため、少しずつ確認しながら進めましょう。

  • 人差し指側(コルク部分)を丸く削る
  • 親指側に引っかかりとなる壁を残す
  • サンドペーパーで全体を滑らかに仕上げる

削りすぎた場合は、コルクシートやパテで修復できます。卓球用品店で補修材が販売されています。

「少し削っては握って確かめる」を繰り返すのが鉄則。一気に削りすぎると元に戻せなくなるため注意してください。

なお、グリップの削り加工は競技規則上も禁止されていません。(出典: 日本卓球協会(JTTA)公式サイト)

握り方の基本まとめ
  • 親指・人差し指を離して均等に挟む(くっつけない)
  • 裏面の3本指は軽く曲げて添えるだけ
  • 握りはリラックス気味。手首がスムーズに動くかを確認する
  • 日本式はコルク突起に指を引っかけ、中国式は裏面に指を回しやすい形を意識
  • グリップ削りで自分の手に合わせたカスタマイズも有効

ペンホルダーの打ち方

ペンホルダーの打ち方は、フォアハンド・バックハンドショート(片面)・裏面打法の3種類に分かれます。片面と両面では動作がまったく異なるため、自分が使うスタイルに合わせて確認しましょう。

フォアハンドの打ち方

基本的な動作はシェークハンドのフォアハンドとほぼ同じです。ただし、手首の自由度が高い分、ラケット面が安定しにくいという特徴があります。意識的に面の角度を固定する習慣をつけることが大切です。

ヘッド(ラケット先端)が下がった状態から打球するため、シェークより自然にしなりが生まれ、回転がかかりやすいのもペンならではのメリットです。

  • テイクバック:ラケットを水平に近い形で構える
  • フォアドライブ:ボールの後ろ〜少し上を捉え、前方上方向にスイング
  • スマッシュ:角型ラケットは遠心力が活かしやすく威力が出やすい
  • 回り込み:バック側をフォアで打つペン選手の基本戦術。フットワーク練習とセットで磨く

バックハンドショート(片面)の打ち方

片面ペンのバックハンドは、ラバーが貼っていない裏面(木肌)を使って手首を内側に返して打球する独特の技術です。「ショート」と呼ばれるブロック性の技術が基本で、相手の威力を利用してコースを変えるイメージで使います。

ラケット面を自在に変えやすい特性を活かし、ボールの横を捉えて「曲げる」変化をつけることも可能です。一方、バックドライブなどの強打は手首の返し方が複雑で習得難易度が高め。無理に強打を狙うとミスが増えるため注意が必要です。

片面ペンのバックハンドで注意したいこと
  • 木肌(無回転面)に当てるためボールが飛びすぎやすい。角度調整を丁寧に
  • 強打よりも「ショートで返してフォアで決める」カウンター戦術が実戦的
  • 面の角度変化でコースや変化をつけるのが片面ペンの醍醐味

裏面打法(中ペン・両面)の打ち方

中国式ペンで両面にラバーを貼った場合に使える技術です。シェークのバックハンドに相当する動作で、現代の中国式ペン選手の多くが習得しています。

裏面を使うには、指を裏面側に素早く回してラケットを安定させる動作が必要です。この切り替えタイミングの習得に時間がかかるため、段階的なアプローチが現実的です。

  • ブロック:裏面でボールに当てるだけ。まずここから慣れる
  • フリック:台上の短いボールを払う技術。手首を使って打球する
  • 裏面ドライブ:安定してきたら本格的なドライブへ発展させる

チキータ(横回転を入れた台上レシーブ)は、裏面を使うと手首が使いやすく面が出やすいため、シェークよりもやりやすいと感じる選手もいます。

裏面ラバーは薄め、または表ソフトを選んでラケットの総重量を抑えると、切り替え動作が楽になり技術習得の近道になります。

ペンホルダーの打ち方まとめ
  • フォアハンドは手首の自由度を活かしつつ、面の角度を意識して固定する
  • 片面バックはショートが基本。強打より「ショート→フォア決定打」の流れを磨く
  • 裏面打法はブロック→フリック→ドライブの順に段階的に習得するのが現実的
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ペンホルダーで有利なサービスの出し方

ペンホルダー最大の武器のひとつが、手首の可動域の広さから生まれる多彩なサービスです。同じフォームから上回転・下回転・横回転・ナックル(無回転)を打ち分けられるため、相手は回転の判断が非常に難しくなります。

シェークハンドの選手は、サービス時だけグリップの根元を持ち替えて手首を使う場合が多いです。一方ペンホルダーは持ち替えなしでそのまま手首を使えるため、サービス後に次のプレーへスムーズに移行できます。

代表的なサービスの種類

代表的なサービスは以下の3種類です。

  • 下回転系ショートサービス:台上で2バウンドさせる短いサービス。相手に強打させず、次球を有利に展開できる
  • 巻き込みサービス:ラケットの裏面を使った横回転系。使用者が少ないため相手が慣れておらず、意外性で得点を狙える
  • 上下回転混合のロングサービス:上回転に見せて下回転(またはその逆)を出す。深く伸びるため相手が体勢を崩しやすい
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効果を高めるコツ

さらに効果を高めるのが「フェイク動作」との組み合わせです。手首の角度を直前まで隠し、インパクト寸前に変化させることで、相手が回転を読みづらくなります。これがペン選手の得点源になる理由です。

注意したい弱点
  • ヘッド(打球面)が下がりやすい構造のため、完全な真下回転(チョップ系)サービスはラケット角度がズレやすく出しにくい
  • 手首に頼りすぎると角度がブレ、サービスミスにつながる場合がある

サービス中のラケットの持ち方変更はルール上も合法です。(出典: 日本卓球協会「FAQ(サービス・持ち方ルール)」)

ペンホルダーの選手が少ない理由と現代卓球での可能性

かつてアジアの主流だったペンホルダーは、なぜ今では少数派になったのでしょうか。衰退の背景を知ったうえで、現代でもペンホルダーが十分に通用する理由を見ていきましょう。

ペンホルダーの選手が減った背景と歴史

1952年の世界選手権に初出場した日本は、日本式ペンで7種目中4種目を制覇という輝かしい成績を残しました。1980年代頃まで、アジアの選手の大半はペンホルダーを使用していました。

転換点となったのは1989年のドルトムント世界選手権です。スウェーデンのシェーク選手(ワルドナー・パーソン)に、中国のペン選手が団体・個人の両方で大敗しました。この試合で「バックハンドで下回転ボールを返球できない」というペンの弱点が世界的に露呈します。

1990年代以降はバックハンド技術の向上と高速ラリー化が進み、シェークが急速に普及。さらに以下の変化がペンをより不利にしました。

  • ボールの変更:38mm→40mm→プラスチック球と変わり、前陣速攻スタイルが難しくなった
  • チキータの普及:シェーク向けの台上技術が広まり、ペンのバックサイドがさらに狙われやすくなった
  • 世代交代の遅れ:ジュニア層でシェークを選ぶ選手が増え、ペンの指導者・環境も減少した

現在の世界トップ100におけるペンホルダーの割合は非常に小さく、シェーク比率は9割以上ともいわれています。

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現代卓球でペンホルダーが通用する理由

少数派になったとはいえ、ペンホルダーは現代でも世界最高峰の舞台で結果を残しています。その可能性を支える要因を整理します。

まず注目すべきは裏面打法の発展です。劉国梁(1999年世界選手権優勝)、王皓・馬琳(2000年代の世界王者)が裏面打法でトップの実績を残し、ペンでも両ハンド攻撃が可能なことを証明しました。

そして2024年パリ五輪では、フランスのフェリックス・ルブランが中国式ペン裏面打法で男子シングルス銅メダルを獲得。現代卓球でも世界トップレベルで通用することを改めて示しました。

戦術面でも大きな強みがあります。シェーク選手はペンとの対戦経験が少ないため、ペン特有の球質やサービスを「見慣れない」と感じやすいのです。 (出典: Butterfly卓球レポート「ダン・チウ裏面打法インタビュー」)

実際に独自スタイルで世界一になった選手も複数います。

  • 柳承敏(2004年アテネ五輪 男子シングルス金メダル)
  • 許昕(2020年東京五輪 男子団体金メダル)
  • フェリックス・ルブラン(2024年パリ五輪 男子シングルス銅メダル)

日本国内でも、裏面打法を使う現代型ペンホルダーの松下大星が2022年全日本選手権でベスト8に入るなど、有望な選手が現れています。

現代でペンが通用する3つの理由
  • 希少性:シェーク選手に研究・対策されにくい
  • フォアハンドの威力:手首を使った強烈な回転・スピードが出せる
  • 裏面打法の確立:両ハンド攻撃でバックの弱点を補える

ペンホルダーラケットの選び方

ペンホルダーラケットは種類が多く、最初の1本選びに迷いがちです。ここでは「どのタイプを選ぶか」の判断軸を3つのポイントに絞って解説します。具体的なモデルは次のセクションで紹介するので、まず自分のプレースタイルを固めるイメージで読んでみてください。

ラケットを選ぶときの3つのポイント

ラケット選びで最初に決めるべきことは、「日本式・中国式・反転式のどれを使うか」です。ここがぶれると、ブレード形状やラバー選びもすべてやり直しになります。

①タイプ(日本式・中国式・反転式)

目指すプレースタイルから逆算して選びましょう。

  • 日本式:片面フォア速攻に徹したい方向け。グリップ裏のコルク突起を親指・人差し指で挟む形が特徴で、扱いやすく初心者にもおすすめです
  • 中国式:将来的に裏面打法(ラケット裏面でも打つ技術)を使いたい方向け。軽量モデルも多く、初心者の入り口としても現実的な選択肢です
  • 反転式:変化系プレーを極めたい上級者向け。表裏で異なるラバーを使い分けます。初心者にはやや難しい選択です

②ブレード形状(角型・角丸型・丸型)

ブレードの形状は、得意な打球の種類に影響します。

形状特徴向いているプレー
角型打球面が広いフォア強打主体
角丸型バランスがよいオールラウンド
丸型扱いやすい台上技術・切り替え重視

③板構成と重量

初心者は5枚合板の木材ラケット・軽量モデルが扱いやすくおすすめです。カーボンなどの特殊素材入りは弾みが大きく、基本技術が固まる前だとコントロールに苦労します。まず木材ラケットで感覚をつかんでから移行するのが一般的な流れです。

グリップ形状の確認も忘れずに。日本式はコルク突起の高さ・幅が握りやすさに直結するため、できれば実際に握って確かめましょう。中国式はグリップが太めに感じる場合があるため、薄めのブレードから試すと慣れやすいです。

公式試合で使う場合はJTTA公認刻印(J.T.T.A.A.)のあるラケットが必要です。バタフライ・ニッタク・VICTAS・ミズノ・ヤサカなど国内主要メーカーのラケットはほぼ公認取得済みです。
(出典: 日本卓球協会「公認品一覧」)

ラバーの選び方(片面・両面別)

ラケットのタイプが決まったら、次はラバー選びです。貼る枚数や厚さによって、重さや打球感が大きく変わります。

日本式(片面)のラバー選び

フォア面に裏ソフトラバーを貼るのが最も一般的です。回転とスピードを両立しやすく、初心者にも扱いやすい組み合わせです。前陣速攻スタイルを目指すなら、弾きのある球が出しやすい表ソフトラバーも選択肢に入ります。

片面ペンはラバー1枚分の費用で済むため、経済的に始めやすいのも利点です。

中国式(両面)のラバー選び

フォア面(表面)は裏ソフトが定番です。裏面は「特薄〜中」の薄めスポンジか表ソフトを選ぶと、ラケット総重量を抑えられてスイングスピードを維持しやすくなります。

両面貼りはラバー交換コストが2倍になる点も、長期的には考慮しておきましょう。

ラバー選びの共通ルール
  • スポンジを含むラバーの厚さは4.0mm以内(JTTA・ITTF規定)
  • 初心者のスポンジ厚は「中〜厚」から始めるとコントロールしやすい
  • ラバー総重量の目安はラバー貼り付け後160〜170g程度(個人差あり)
  • 公式試合ではITTF公認マーク入りのラバーが必要

(出典: 日本卓球協会「競技規則」 / 日本卓球協会「公認品一覧」)

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ペンホルダーラケットのおすすめ人気モデル

前のセクションで紹介した選び方の基準をもとに、日本式・中国式それぞれのおすすめモデルを初心者向け・中上級者向けに分けて紹介します。

価格・仕様・在庫状況は変動します。購入前に各メーカー公式サイトや卓球専門店で最新情報をご確認ください。

日本式ペンのおすすめラケット

日本式ペンは表面のみにラバーを貼る片面使いが基本です。打球感を重視した木材系モデルが多く、弾みと球持ちのバランスで選ぶのがポイントになります。

初心者向けモデル

サイプレスT-MAX(バタフライ)は、長く愛され続けるサイプレスシリーズの定番モデルです。「打球感と弾みのバランスがいい」と評価が高く、ペンドライブ型を目指す最初の1本として推奨されています。

そのほかのメーカーのラインナップも含め、最新モデルはバタフライ・ニッタク・VICTASの公式サイトで確認するのがおすすめです。

中上級者向けモデル

モデル名メーカー特徴
DYNAM 10.5VICTAS木曽檜単板・板厚10.5mm・約100g。パワーを求めるハード仕様
HINO-CARBONVICTASカーボン入りで高いスピード性能。詳細仕様は公式サイト要確認
吉田海偉バタフライ7枚合板で球持ちと弾みを両立。初級〜上級まで対応する名作

吉田海偉は片面使いでも高いパフォーマンスを発揮できる設計で、日本式ペンの幅広い層に人気があります。

中国式ペンのおすすめラケット

中国式ペンは裏面にもラバーを貼れるため、モデルによって裏面打法のしやすさが大きく変わります。軽さ・グリップ形状・板厚を意識して選びましょう。

初心者向けモデル

ルーティスレボ(ニッタク)は軽量でグリップが細め、ブレードも小ぶりで板厚も薄め。手が小さい方や持ちやすさを重視する初心者に特に向いています。CP548の後継モデルとして発売されたモデルです。

アルティウスST5(ミズノ)は平均重量約77gの軽量設計で、裏面打法もしやすい仕様。VICTASスワット中国式は7枚合板ながら価格が抑えられたコスパモデルとして注目されています。

中上級者向けモデル

モデル名メーカー特徴
馬林エキストラオフェンシブヤサカ中国式ペンの王道定番。愛好者が多い安定感のある1本
ビスカリアバタフライカーボン入り。バックハンドが握りやすい独特のグリップ形状
アコースティックカーボンインナーニッタク弦楽器製法採用。FEカーボン内蔵で繊細なタッチと安定感
ハッドロウVK-Cバタフライ黒檀5枚合板で硬め。ドライブに力強い回転・裏面打法との相性良好

ビスカリアはもともとシェーク向けとして設計されたモデルですが、中国式ペンとして使う選手にも根強い人気があります。

おすすめモデル選びのポイントまとめ
  • 初心者は軽量・薄板・小ぶりなブレードを優先して選ぶ
  • ペンドライブ型を目指すなら球持ちと弾みのバランスが取れた木材系から始める
  • 裏面打法を視野に入れるなら中国式ペンを選び、グリップ形状を手に取って確認する
  • 価格・仕様は変動するため、購入前に公式サイトや専門店で最新情報を確認する

よくある質問

ペンホルダーは初心者でも始めやすいですか?

フォアハンドの打ち方はシェークとほぼ同じで、比較的習得しやすいです。一方で、バックハンドの処理方法がシェークと大きく異なるため、バック側の習得には時間がかかります。

日本式ペンの片面ラバーであれば軽量で扱いやすく、フォア主体の攻撃型を目指すなら取り組みやすいグリップです。ただし、シェークほど指導者が多くないため、中国式ペンに精通したコーチを探すか、独学を前提に始める必要がある点も考慮しておきましょう。握り方や打ち方の基本は、本記事の「ペンホルダーの握り方」「打ち方」セクションで詳しく解説しています。

日本式と中国式ペン、どちらを選べばよいですか?

「フォア一本に徹したい・軽さを重視したい」なら日本式、「将来的に裏面打法も習得して両ハンドで攻めたい」なら中国式が基本の選び方です。

中国式は両面ラバーの分だけ重くなり、グリップも太く感じる場合があります。まず日本式で感覚を掴んでから中国式に移行するアプローチも有効です。詳しくは本記事の「ペンホルダーの種類と特徴」「ラケットの選び方」セクションをご覧ください。

ペンホルダーでバック側の弱点はどう補えますか?

日本式片面の場合は、主に2つの方向で対策します。フットワーク(回り込み)を鍛えてフォアで処理するか、バックショートを安定させてカウンター戦術に持ち込むかです。

中国式の場合は、裏面打法を習得することでシェークと同様のバック攻撃が可能になります。具体的な練習方法は、本記事の「バックハンドショート・裏面打法」セクションで解説しています。

裏面ラバーは最初から貼る必要がありますか?

中国式ペンを選んだ場合でも、最初は表面のみにラバーを貼って片面で練習することは可能です。裏面打法は習得難易度が高いため、まず表面のフォアハンドを固めてから段階的に裏面を加えるのが一般的なアプローチです。

ただし、裏面にラバーを貼らない場合、試合では裏面(木肌)を規定の色で着色する必要があります。これはJTTAの競技規則で定められているため、事前に確認しておきましょう。(出典: 日本卓球協会「よくある質問(FAQ)」)

詳細は本記事の「ラバーの選び方」「裏面打法」セクションをご参照ください。

ペンホルダーに向いているのはどんなプレースタイルの人ですか?

フォアハンドを中心に積極的に攻める「前陣攻撃型」「前陣速攻型」のスタイルに最も向いています。手首を使った多彩なサービスや台上プレーを武器にしたい人にも適しています。

逆に、「バックハンドで安定的に守りながら両ハンドで戦いたい」「台から離れてカットで守る」スタイルとは相性が良くありません。一方で、工夫しながら個性的なスタイルを作りたい人にとっては、シェークより試行錯誤の余地が多い面白さがあります。詳しくは本記事の「ペンホルダーのメリット・デメリット」「打ち方」セクションをご覧ください。

まとめ

ここまでペンホルダーの種類・握り方・強みと弱点・ラケット選びまでを解説してきました。最後に記事全体の要点を整理して、あなたの「次の一手」を確認しましょう。

記事の要点まとめ
  • ペンホルダーとは:ペンを持つように握るグリップの総称。日本・中国・韓国などアジア発祥のスタイルで、かつては日本卓球の主流だった
  • 種類:日本式(角型・角丸型・丸型)・中国式(裏面打法対応)・反転式(粒高変化型)の3種類。目指すプレースタイルで選択が変わる
  • 強み:フォアハンドの強烈な回転、手首を活かした多彩なサービス、台上プレーのやりやすさ
  • 弱点:バックハンドの攻撃力不足とバック側カバー範囲の狭さ。中国式の裏面打法で補うことができる
  • 握り方の核心:親指と人差し指でグリップを均等に挟み、残り3本は裏面に軽く添えるだけ。力を入れすぎず手首がスムーズに動く握りが正解
  • ラケット選びの軸:①日本式か中国式か → ②ブレード形状 → ③板構成と重量 → ④JTTA公認確認の順に絞り込む
  • 現代でも通用する:フェリックス・ルブランが2024年パリ五輪でペンホルダーを使い銅メダルを獲得。希少性と独自性が現代卓球でも武器になる

自分に合うかの判断軸

ペンホルダーが向いているのは、フォア主体で積極的に攻めたいプレーヤーです。バックよりもフォアを武器にしたい、サービスで相手を崩したい、という方にはシェークより合いやすいスタイルです。

逆に、バックハンドも均等に使いたい・両ハンドをバランスよく鍛えたいという方には、シェークハンドの方がストレスなく始められます。まずは自分の「攻めたい方向性」を確認してみてください。

次のアクションへ

迷ったら、まず「日本式ペン+表面裏ソフト」の軽量な入門モデルから試してみましょう。握り方と打ち方の基本を身につけてから、スタイルが固まった段階で用具を見直すのが最短ルートです。

ラケット購入時は、公式試合に対応しているかをぜひ事前に確認しましょう。(出典: 日本卓球協会「公認品一覧」 / 日本卓球協会「競技規則」)

ペンホルダーは、使いこなすほどに個性が出るグリップです。ぜひ自分だけのスタイルを磨いてみてください。

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