ペンホルダーの弱点とされてきたバック側を、表面と同等の威力で攻撃できる技術が裏面打法です。習得すれば守りに回りがちなバック側をドライブやスマッシュで得点源に変えられ、対戦相手の戦術を根本から崩せます。
この記事では、裏面打法の基本的な仕組みから「なぜペンドラに必要なのか」という理由、フォームの作り方、一人でもできる練習メニューまでを段階的に解説します。読み終わる頃には、裏面打法をどこから練習すればいいかが明確にわかります。

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ペンホルダーの裏面打法とは
裏面打法とは、ペンホルダーラケットの裏面にラバーを貼り、反転させずにそのままバック側のボールを打球する技術の総称です。ペンホルダー特有の技術であり、シェークハンドには存在しません。
この打法を世界レベルで確立したのが、中国の王皓(ワン・ハオ)選手です。バックハンドのほぼすべてを裏面打法で処理する両ハンド攻撃型スタイルで、近代ペンドラのパイオニアとなりました。
- ペンホルダー専用の技術。反転せずに裏面ラバーで打球する
- 王皓が世界大会で実証し、近代ペンドラの標準スタイルに
- ブロック・フリック・チキータまで対応できる多彩な打法
- 現代ではシェークのバックハンドと遜色ない技術として発展
王皓が切り開いた裏面打法の歴史
王皓選手は2004年アテネ・2008年北京・2012年ロンドンと、3大会連続で五輪男子シングルス銀メダルを獲得。2009年世界選手権横浜大会では男子シングルスで優勝を果たしました。
これらの実績が証明したのは、ペンホルダーでも裏面打法を軸にすればシェークと互角以上に戦えるという事実です。それまでバック側の弱点とされていた部分が、強力な得点源に変わりました。
現代ペンドラにとっての裏面打法の位置づけ
裏面打法はもはや「あれば強い」オプションではなく、現代ペンドラの必須技術として広く認識されています。バック側を裏面で積極的に攻めることで、シェーク選手に対しても対等な展開を作れるからです。
ペンホルダーでバック側の弱さを感じているなら、裏面打法の習得が課題解決への最短ルートといえます。
ペンホルダーに裏面打法が必要な理由
かつてペンホルダーは「現代卓球では勝てない」とまで言われた時代がありました。その解決策として生まれたのが裏面打法です。バック側の弱さを補い、シェークと互角に戦う手段として、なぜ裏面打法が必要なのかを3つの観点から整理します。
理由①:現代卓球でバック側への攻撃が増えているから
プラスチックボールへの移行やラバー性能の向上により、バック側でドライブを打ち合いながらラリーの主導権を握る展開が当たり前になっています。シェークハンドが主流になった現代では、両ハンドで攻め続けるスタイルが標準です。
実際、2026年6月15日時点の世界ランキング男子上位50名のうち、シェーク使用者は48名。ペンホルダーはわずか2名(4位F.ルブラン、9位チウ・ダン)にとどまります。シェーク両ハンドが「当たり前」になった時代に、バック側を攻撃的に処理できなければ対等に戦えません。
理由②:オールフォアだけでは対応に限界があるから
バック側のボールを回り込んでフォアで打つ戦術は、フォア側が大きく空くリスクを常に抱えています。コースを読まれると、空いたフォアに打ち返されて得点を奪われる展開が続きます。
さらに、年齢とともにフットワークが衰えると、回り込みを軸にしたプレースタイルは維持が難しくなります。裏面打法の開発が本格化したきっかけも、1989年世界卓球選手権ドルトムント大会で中国男子がスウェーデンに大敗し、中国卓球協会が「バック側の下回転ボールを打ち返せないペンホルダーの限界」を認識したことでした。 (出典: Wikipedia「裏面打法」)
理由③:シェークと互角以上に渡り合う選択肢が生まれるから
裏面打法を身につけることで、ペンホルダーでも両ハンドドライブ型のプレーが実現します。バック側もフォア側と同等の攻撃力で処理できれば、シェークに対して戦略の幅が大きく広がります。
また、裏面打法の使い手はまだ少数派のため、対戦相手にとって球質が新鮮で対応しにくいという希少性のアドバンテージもあります。世界を舞台に活躍する現代のペンドラ選手を見ると、その可能性は明らかです。
- フェリックス・ルブラン(フランス):2024年パリ五輪男子シングルス銅メダリスト
- チウ・ダン(ドイツ):世界ランキングトップ10に入る現役ペンドラ
- 黄鎮廷(中国香港):アジアトップクラスで活躍する裏面打法の使い手
- 現代卓球ではバック側への両ハンド攻撃が標準になり、バック側も攻撃的に返せる力が不可欠
- オールフォアは回り込みリスクとフットワーク低下という構造的な限界を抱えている
- 裏面打法で両ハンド化を実現すれば、シェークに対して互角以上の戦術的選択肢を持てる

裏面打法を習得するメリット
裏面打法を身につけると、ペンドラの戦術幅が一気に広がります。バックハンド攻撃の多彩化、台上チキータの解禁、下回転への対応力向上という3つの大きなメリットが得られます。
メリット①:バックハンドの攻撃バリエーションが増える
ペンホルダーの表面でバックハンドを打つ場合、骨格上の制約からボールに回転をかけにくい構造になっています。一方、裏面打法ではスイング方向が自然になり、しっかり回転をかけた多彩な球が打てます。
球速が遅くても独特な回転が乗るため、相手が嫌がる球質になりやすいのが特徴です。バックハンドショートと裏面打法を両立できると、変化と攻撃力のバランスが高まり、ペンホルダーとして理想的な戦型に近づけます。
メリット②:台上チキータが使えるようになる
チキータとは、横回転を加えたバックハンドフリックのことです。裏面打法の代表的な武器であり、レシーブの選択肢を大幅に広げてくれます。
ペンホルダーの裏面打法は、手首が使いやすく面も出やすい構造のため、チキータレシーブはシェークよりやりやすいとも言われます。
世界的な裏面打法の使い手である王皓選手は、台上チキータから後陣の引き合いまで全域を高い安定感でカバーしていました。参考にしたい実例です。

メリット③:下回転に対するドライブが容易になる
裏面打法ではラケット先端を自然に下向きにできます。ボールの外側を捉えるカーブドライブが打ちやすく、ネットミスのリスクを抑えやすい点がメリットです。
スイングがコンパクトなため、体の前でボールを捉えやすく、慣れれば比較的早く習得できます。まずは下回転に対して「ツッツキ→裏面ドライブ」の流れを実戦に取り入れるのが、実戦デビューへの近道です。
- バックハンド攻撃の多彩化:表面では難しい回転をかけた球が打てる
- 台上チキータの解禁:ペンホルダーはシェークより手首が使いやすく有利
- 下回転への対応力向上:カーブドライブが自然に打ちやすい構造
裏面打法を習得するデメリット
裏面打法には大きなメリットがある一方、導入前に知っておくべきリスクも存在します。重量・弱点・コストの3点を正直に整理しました。デメリットを把握した上で練習に臨むことが、最終的な習得の近道になります。
デメリット①:ラケット重量が増し手首への負担が出る
両面にラバーを貼ると、ラケットの総重量が増します。その結果、スイングスピードの低下やフォア・バックの切り替え遅延が生じやすくなります。
ペンホルダーが軽快に振り切れる目安は、160〜170g前後とされています。190gを超えてくると手首への負担が高まるため注意が必要です。
また、日本式ペンは重心が先端寄りの設計です。そのため、裏面ラバーを貼ったときの「重さの感じ方」が中国式ペンよりも大きくなりやすく、手首を痛めるリスクも高まります。
- 裏面ラバーは薄め〜中厚を選び、重量を抑える
- 日本式ペンの場合は特に軽量ラバーとの相性を確認する
- 練習序盤は裏面の使用頻度を抑え、徐々に慣らしていく
デメリット②:ミドル処理が新たな弱点になりやすい
裏面打法プレーヤーの盲点として多くの解説で指摘されるのが、ミドル(体の正面付近)への対応です。ショートで処理するか裏面で打つかの判断が難しく、咄嗟の場面でミスが起きやすいゾーンです。
さらに、裏面を使い始めると以前は安定していたショートの角度感が崩れるケースもあります。ミドルをカバーできるようになるには、切り替え練習を重ねて判断を体に染み込ませる時間が必要です。
デメリット③:ラバーコストが2倍になる
片面ペンは表面1枚のラバーで済んでいましたが、裏面打法を導入すると2枚必要になります。裏面用ラバーは高弾性系で3,000円前後、テンション系で4,000〜8,000円程度が相場の目安です。
加えて、習得初期はラケットをぶつけてラバーを傷めやすいという落とし穴があります。まずはリーズナブルな高弾性ラバーを選び、安定してきたらグレードを上げる流れが現実的です。
- ラバー2枚分の交換コストが年間を通じて発生する
- 練習初期は安価なラバーで試し、上達に合わせてグレードアップする
- 購入前に最新の実売価格を確認しておく
- 重量増加:160〜170g以内を目安にラバー選びで調整する
- ミドルの弱点化:切り替え練習で克服できる、課題が明確になるメリットでもある
- コスト増:初期は安価なラバーで練習し、慣れてから投資額を上げる
裏面打法に適したラケットの選び方
裏面打法では、ラケットの種類選びが重量バランスと操作性に直接影響します。日本式ペン・中国式ペン・反転式ペンの3種類はそれぞれ特性が異なり、裏面打法を本格的に習得するなら種別の向き不向きを正確に把握することが重要です。
中国式ペンが裏面打法に最適な理由
世界トップの裏面打法使いのほとんどが中国式ペンを選んでいます。王皓選手をはじめ、裏面打法で実績を残したプレーヤーの大半が中国式ペンを使用していた事実が、その合理性を示しています。
中国式ペンが優れている主な理由は以下の3点です。
- 重心がグリップ寄りで、両面にラバーを貼っても重く感じにくく、フォアとバックの切り替えがスムーズ
- 丸型ブレードはシェークと同等の薄さで商品数が豊富なため、グリップ形状や重量を自分好みに選びやすい
- 親指を深く当てやすい構造なので、裏面打法に特化したグリップへ移行しやすい
日本式ペン・反転式ペンとの比較
中国式ペンと比較したとき、日本式・反転式にはそれぞれ明確な特徴と制約があります。
| 種類 | 裏面打法への適性 | 主な理由 |
|---|---|---|
| 中国式ペン | ◎ 最適 | グリップ寄り重心・商品数が豊富・グリップ移行しやすい |
| 日本式ペン | ✕ 不向き | ブレード先端重心+厚みで両面ラバー時に非常に重くなる |
| 反転式ペン | △ 限定的 | 反転してサーブ時に裏面を使う程度には対応できる |
日本式ペンの場合
日本式ペンはブレードが角型で厚く、重心が先端寄りにあります。両面にラバーを貼るとラケット全体が非常に重くなり操作性が著しく悪化します。手首への負担も増すため、フォアドライブの威力を保ちながら裏面を機能させることが難しくなります。世界レベルの大会で日本式ペンの裏面打法使いがほぼ見られない点が、その厳しさを物語っています。
反転式ペンの場合
反転式ペンは、片面のみ使いながらラケットを反転させて裏面を使う設計です。サーブ時に裏面を活用するスタイルなら対応できます。ただし、ラリー中に素早く切り替えて裏面ドライブを打つ用途には向いておらず、裏面打法を戦術の柱にしたい場合は力不足になりやすいです。
- 裏面打法を本格的に習得するなら中国式ペンへの移行が最も合理的
- 日本式ペンは重量バランスの問題から裏面打法との相性が悪く、世界レベルでも実例がほぼない
- 反転式ペンはサーブ活用など限定的な用途には使えるが、ラリー中の裏面打法は難しい
- 中国式ペンは商品数が豊富なので、実際に握って重量感を確かめてから選ぼう
裏面打法に適したラバーの選び方
裏面ラバー選びは「軽量・適度な弾み・回転のかけやすさ・価格」の4条件が基本軸です。フォア面との重量バランスも重要で、この視点を持てるかどうかが長期的な上達に直結します。
入門向け裏面ラバーの選定ポイント
裏面打法を始める段階では、性能よりも「扱いやすさ」を優先してラバーを選ぶことが大切です。以下の5つのポイントを参考にしてください。
- 軽量であること:ペンはグリップの関係で重さを感じやすい構造です。裏面ラバーはできる限り軽いものを選びましょう。
- 弱いスイングでも弾むこと:裏面はフォアよりインパクトが弱くなりがちなため、少ない力でも質の高いボールが出るラバーが向いています。
- 飛び出し角度が高いこと:裏面は面が伏せやすく、弧線が低くなりやすいです。柔らかめのスピン系テンションを選ぶと自然に高い弧線が出ます。
- 回転がかけやすいこと:下回転への裏面ドライブを目的とするなら、引っかかりのよいシートのラバーが適しています。
- 価格が抑えめであること:習得初期はラバーを傷めやすいため、まずは高弾性系(3,000円前後)から始め、習熟度に応じてテンション系へステップアップするのがおすすめです。
裏ソフトと表ソフト、どちらを選ぶか
裏面打法には裏ソフトラバーが基本の選択肢です。回転をかけやすく、ドライブ主体のプレーに向いています。
表ソフトラバーを裏面に使うと、速い弾きやナックル球(無回転に近いボール)が出しやすい反面、ドライブ回転がかけにくく、下回転への対応が難しくなる傾向があります。
| ラバー種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 裏ソフト | 回転をかけやすい・ドライブに向いている | 異質感は出しにくい |
| 表ソフト | 弾きが速い・ナックル球で奇襲できる | 下回転への対応が難しい |
表ソフトは異質感を活かした奇襲として有効という見解もありますが、まずは裏ソフト(高弾性またはライトテンション系)から始めるのが合理的です。
フォア面とのバランスの考え方
フォア面に粘着系・テンション系の重いラバーを使っている場合は、裏面に軽いラバーを貼ってバランスを取ることが重要です。
ラケット総重量の目安は160〜170g前後とされており、両面に特厚の裏ソフトを貼ると190gを超えやすく、手首への負担が増してケガのリスクが高まります。
まず軽めのラバーを貼り、裏面がある状態でフォア面のプレー感覚が崩れないことを確認してから、少しずつ性能を上げていくのがおすすめです。
- STEP1(入門):高弾性系ラバー(軽量・低価格・扱いやすい)
- STEP2(慣れてきたら):ライトテンション系(プラクソン350・ヴェガエリートなど)
- STEP3(習熟後):テンション系(テナジー05FXなど)

裏面打法の基本フォームと打ち方
裏面打法を習得するには、グリップ・打点・スイング・体重移動・手首の5つの要素を順に整えることが大切です。いきなり試合で使おうとするより、まず各要素の感覚をつかんでから実戦に取り入れましょう。以下では右利きプレーヤーを基本モデルに解説します(左利きは左右を逆に読み替えてください)。
基本グリップの握り方
裏面打法のために大きく持ち替える必要はありません。フォアで打つときと同じグリップを維持しながら、バック側にボールが来たときだけラケットの裏面を向けるイメージで対応します。
目指すスタイルによって、親指の置き方が変わります。
両ハンドドライブ型の場合
ラケット面を安定させるために、親指をやや深く握るのが基本です。面ブレを防げるため、裏面ドライブの安定感が増します。王皓選手はショートをほとんど使わないスタイルのため、親指をかなり深く握るグリップを採用していたことで知られています。
ショート打法も併用する場合
ショートへの切り替えをスムーズにするため、親指をやや浅めに置くのが有利です。切り替えの速さと裏面の安定感を両立させたい場合は、この握りで慣れるのがおすすめです。
打点とスイング軌道のポイント
裏面打法はフォアハンドに比べてコンパクトなスイングになるため、強いインパクトは出しにくい構造です。そのため弧線を高めに出すドライブを基本と考えましょう。
ラケット構造上、グリップから打球面が下を向きやすいという特性があります。腕や手首をひねらないとフラット打ちが難しいため、ドライブ主体の打球が実戦向きです。
- 打球点:バウンド直後〜頂点付近を狙い、体の正面でとらえる
- スイング方向:下から上へ薄くこすり上げる軌道が基本
- カーブドライブへの応用:ペンホルダーはラケット先端を自然に下向きにできるため、ボールの外側を捉えるカーブドライブが出しやすい。回転量の多いツッツキに対してもネットミスが減るメリットがある
体重移動と姿勢の基本
半身の姿勢を保ちながら、体の前でボールをとらえる意識が重要です。前のめりになりすぎると、打球後にフォアへ素早く切り替えられなくなります。
上体の重心とエルボー(肘)の位置が安定性を左右します。肘が体から離れすぎると面がブレやすく、ミスが増えます。
- 打球後すぐフォア側に戻れる体勢を常に意識する
- 上体が前のめりになりすぎていないか確認する
- 肘が体から大きく離れていないかチェックする
- 重心は低めに保ち、膝を軽く曲げた状態を維持する
裏面バックミートの手首の使い方
手首の可動域が広いことはペンホルダー特有の強みです。裏面打法でも手首を柔軟に使うことで、回転量や打球角度に変化をつけられます。
ただし、フォアから切り替える動作で手首が固まると球質が単調になります。切り替え時は脱力を意識し、インパクトの瞬間だけ締める感覚が大切です。
裏面バックミート(ミート打ち)では面を立てる動作が必要です。フォロースルーをやや横方向に取ることでコントロールが安定しやすくなります。チキータのように手首を巻き込む技術に発展させたい場合も、まずこの基本動作を固めてからにしましょう。
- フォアから切り替える際に手首に力が入りすぎて面がブレる
- インパクト前から手首を固めてしまい、薄くこすれずボールが浮く
- フォロースルーが上方向だけになり、横への振り抜きが足りずミスが増える
裏面打法の習得難易度と習得期間の目安
裏面打法の習得にかかる期間は、現在のスキルや練習頻度によって大きく異なります。ここでは習得難易度の全体像と、段階別の目安を整理します。
習得難易度の全体像
裏面打法は、ゼロからフォームを作る必要があるため、シェークのバックハンドを習得する場合と比べて難易度が高いとされています。特にショートとの切り替えが加わる分、判断と動作の両面で習得コストがかかります。
一方、ペンホルダーは手首の可動域が広く、チキータやカーブドライブなど特定の技術においてはシェークより習得しやすい側面もあります。難易度は技術ごとに異なるため、最初から全技術を完成させようとせず、一つひとつ積み上げる意識が大切です。
段階別の習得期間の目安
習得期間はあくまで目安ですが、練習頻度が週2〜3回程度の場合、以下のようなペースが参考になります。
- 裏面でボールを安定して入れられる(1〜3か月):フォームを固め、多球練習で安定したドライブが打てる状態
- 練習中に裏面を意識的に使える(3〜6か月):ショートとの切り替えが一定の条件下でできるようになる段階
- 試合で裏面を選択できる(6か月〜1年以上):プレッシャーのある場面でも自然に裏面を選択できる自動化の段階
年代別の習得アプローチ
裏面打法の習得は、始める年代によってアプローチが変わります。
ジュニア(小中学生)の場合、身体の柔軟性が高く新しい動作を覚えやすい時期です。王皓選手のように幼少期からバック側を裏面で処理するスタイルで育てると、自然に両ハンドが身につきます。フォームの癖がつく前に正しいグリップと動作を定着させることが最大のポイントです。
一般成人(20〜40代)の場合、既存のプレースタイルが染みついているため、切り替えの自動化に時間がかかります。ただし、目的意識が明確なため集中して練習できる強みがあります。まずは使う場面を限定して少しずつ習慣化させるアプローチが向いています。
シニア(50代以上)の場合、フットワークの衰えをカバーする手段として裏面打法は有効です。フォームへの負荷を抑えるために、軽量ラバーと無理のないスイングを前提に取り組むことが長く続けるコツになります。
ペンドラが取り組むべき裏面打法の練習方法
裏面打法の習得は、段階を踏めば着実に身につけられます。多球練習でフォームを固め、台上技術→ラリー→切り替えと順番に積み上げていくことが上達の近道です。
実戦で使えるようになるまでには時間がかかりますが、各ステップをクリアするごとに手応えを感じられるはずです。焦らず、ロードマップに沿って取り組みましょう。
練習法①:多球練習で基本フォームを体に染み込ませる
裏面打法を習い始めたばかりの段階では、多球練習が最も効率よくフォームを固められる方法です。コーチやパートナー、卓球マシンのいずれでも問題ありません。
最初の目標は「ボールを安定して入れる感覚」を身につけること。一球ごとに打点とフォームを確認しながら、丁寧に繰り返しましょう。
慣れてきたら、少しずつ回転量やスピードを上げていきます。下回転ボールに対して裏面ツッツキや裏面ドライブで返球するパターンに発展させると、次のステップへスムーズに移行できます。
- まずはゆっくりした球でフォーム確認を優先する
- 安定して入るようになったら回転・スピードを段階的に上げる
- 下回転への裏面ツッツキ・ドライブへと発展させる
練習法②:台上ドライブ・チキータの反復練習
基本フォームが固まったら、台上技術の練習に移ります。下回転サーブを出してもらい、ツッツキで返ってきた球を裏面ドライブで打つパターンが基礎練習として有効です。
最初から強い下回転を打ちにいくのは難しいため、まずはナックル系・横回転系サーブへのレシーブからスタートしましょう。難易度を少しずつ上げていくのがポイントです。
練習法③:つなぎを意識したバックのラリー練習
裏面打法は「得点を取る技術」と思われがちですが、試合では「つなぎ」として使う場面のほうが実は多いです。この意識を持ってラリー練習に取り組みましょう。
具体的には「裏面で攻撃する」のではなく、「裏面でつないで次のフォアで攻撃する」という流れを体に覚えさせます。裏面はあくまでフォア攻撃への橋渡し役です。
コースはなるべく早い段階からランダムにするのがおすすめ。コースを固定した練習ばかりだと、実戦でなかなか使えないため注意が必要です。
- 裏面だけで攻撃しようとして無理打ちが増える
- コースを固定したままで実戦感覚が養われない
- フォアへの切り替えを想定せず裏面で完結させようとする
練習法④:ショートと裏面の切り替え練習
ショートと裏面の切り替えは、最も実戦に近い練習です。目標はどちらで返球するかを瞬時に判断し、体が自動的に動く状態をつくること。
いきなり切り替えドリルに入ると混乱しやすいため、まずはショートのみ・裏面のみの練習を十分に積んでから移行しましょう。基礎が固まっていないと判断より先に体が止まってしまいます。
特に難しいのはミドル(体の正面)への球への対処です。ミドル処理専用の多球練習メニューを別途組み込むと、実戦での対応力が上がります。
- STEP1:ショートのみの反復練習で安定感を出す
- STEP2:裏面のみの反復練習でフォームを固める
- STEP3:コースを決めた切り替えドリルで判断を磨く
- STEP4:ミドル専用の多球練習で実戦対応力を高める


練習では使えるのに試合で裏面打法が出ない原因
「練習では打てるのに試合で全然出ない」という悩みは、裏面打法を習得しようとするペンドラに共通の課題です。原因を正確に把握しておくことで、次のステップの対策がより効果的になります。
原因①:ショートとの切り替えが咄嗟にできていない
長年オールフォアやショートでバック処理をしてきた選手は、旧来のプレースタイルが身体に染みついているため、咄嗟の場面では無意識に古い動作が出てしまいます。
練習でコースを限定すれば打てても、試合ではランダムなボールへの瞬時の判断が必要です。切り替えの「自動化」が追いついていない状態では、実戦で裏面を選択するまでの判断が一瞬遅れます。
特にミドルへの球は「フォアで回り込むか、裏面で処理するか」の判断が必要です。この迷いが生じると、どちらも半端になる「迷い打ち」が頻発し、ミスにつながりやすくなります。
- フォアで回り込もうとして途中で裏面に変更し、体勢が崩れる
- 裏面を選んだが準備が遅れ、ラケットだけ出して芯を外す
- どちらにするか決まらないまま手だけ出て、ネットに落とす
原因②:試合特有のプレッシャーで判断が遅れる
試合では「ミスしたくない」という心理が無意識に働きます。その結果、まだ実戦経験が浅い裏面打法の使用を避け、慣れ親しんだ技術に逃げてしまうのです。
練習と試合では心理的負荷がまったく異なります。プレッシャーがかかる場面ほど、新しく習得した技術より長年染みついた動作が優先されるのは、人間の本能的な行動パターンともいえます。
- 切り替えの自動化不足:ショートや回り込みの習慣が強く、瞬時に裏面を選択できない
- プレッシャーによる回避:緊張場面で新技術の使用を無意識に避けてしまう
試合で裏面打法を使えるようにするための対策
「練習ではできるのに試合で使えない」という悩みの根本には、切り替えの自動化不足とプレッシャーによる判断遅延という2つの原因があります。
この章では、緊張を伴う試合でも自信を持って裏面打法を使えるようになることを目標に、逆算した対策を2つ紹介します。
対策①:試合を想定したシチュエーション練習の取り入れ方
練習の早い段階からコースをランダムにして、実戦に近い状況で判断と切り替えを繰り返す習慣が重要です。整ったパターンに慣れすぎると、試合の不規則な球に対応できなくなります。
特に効果的なのがサービスからの3球目攻撃パターンです。ナックル系または横回転系のサービスを相手のバック前に出し、返ってきた球を裏面バックドライブで打つ流れを繰り返します。実戦感覚が養われ、自然と裏面を使う判断が身につきます。
マッチ練習(試合形式の練習)では、「この1本だけ裏面を使う」というルールを設けましょう。プレッシャーのある状況で実際に使う経験が、心理的ハードルを着実に下げます。
対策②:ショートと裏面の判断基準を事前に言語化する
試合中に「ショートにするか、裏面にするか」と迷う原因のほとんどは、判断基準が曖昧なまま試合に臨んでいることです。あらかじめ場面別のルールを決めておくだけで、迷い打ちは大幅に減ります。
たとえば以下のように場面ごとのルールを言語化しておきましょう。
- 台から出てきた長いボール→ 裏面ドライブ
- バック前の短いボール→ 裏面フリック(チキータ)
- 深くて速いボール→ ショートでブロック
- ミドルへの球→ まずショートで対応
ミドルを「まずショートで対応」と決めておくのがポイントです。処理に迷いやすいコースをあらかじめショートに固定することで、判断の余白が生まれ、バック・フォア方向への裏面使用に集中できます。
- ランダムコース練習や3球目パターンで、実戦に近い判断を繰り返し体に覚えさせる
- 最初は裏面ツッツキ・フリックなど簡単な技術に絞り、成功体験を積む
- 「どの球に裏面を使うか」を言語化し、試合中の迷いをなくす
- 数値目標を宣言して、意図的に裏面を使う機会を強制的に増やす
よくある質問
日本式ペンでも裏面打法はできますか?
技術的には可能ですが、実用レベルで使いこなすのは非常に難しいです。日本式ペンの角型ブレードは重心が先端寄りで、両面にラバーを貼ると操作性が著しく低下します。世界レベルで日本式ペン裏面打法を使う選手は事実上いないとされています。
ただし、日本式でも丸型ブレードであれば中国式ペンに近い挙動になり、比較的取り組みやすいという声もあります。本格的に裏面打法を身につけたい場合は、中国式ペンへの転向を検討するプレーヤーが多いのが実情です。
裏面打法はいつから練習を始めるべきですか?
フォアハンドとショートの基礎がある程度安定してから取り組むと、挫折しにくいといわれています。裏面の動作はショートとの切り替えを伴うため、片面の操作が不安定な段階で始めると混乱しやすいためです。
一方、王皓(ワン・ハオ)のように幼少期からバック側をすべて裏面で処理するスタイルで育った選手も存在します。開始時期よりも「目的を明確にして段階的に取り組む」ことが、上達の鍵といえるでしょう。
裏面打法を覚えるとミドルの処理が難しくなると聞きましたが本当ですか?
その指摘は事実です。「ショートで返すか裏面で返すか」の判断に一瞬迷いやすいミドル付近は、裏面打法プレーヤーの代表的な弱点として専門家にも広く知られています。特に裏面を導入したばかりの時期に顕在化しやすい問題です。
ただし、ミドル処理に特化した練習を繰り返すことで十分に克服できる領域でもあります。弱点として事前に把握した上で練習計画に組み込むことが大切です。
王皓(ワン・ハオ)以外に裏面打法を使う有名選手はいますか?
現役選手では、2024年パリ五輪男子シングルス銅メダリストのフェリックス・ルブラン(フランス)、ドイツのチウ・ダン、中国香港の黄鎮廷らが裏面打法を取り入れたペンドラとして知られています。
歴史的な先人としては、裏面打法を世界で初めて本格的に取り入れた劉国梁(1999年世界選手権男子シングルス優勝)、2008年北京五輪男子シングルス優勝の馬琳が挙げられます。日本では松下大星が裏面打法に特化したグリップで知られており、独自のスタイルとして注目を集めています。
まとめ:裏面打法はペンホルダーの可能性を広げる技術
裏面打法は「シェークに勝てるようになる魔法」ではありません。ペンドラとしての戦術の幅を広げる、あくまで選択肢のひとつです。この記事で解説してきた要点を、ここで一度整理しましょう。
- 裏面打法のメリットはバック側の弱点解消と戦術の多様化。デメリットとして、グリップの持ち替えや両面の感覚習得に時間がかかる点は覚悟が必要
- ラケット選びは軽量かつバランスの取れた板薄・中程度の弾みが基本。裏面ラバーは薄めの裏ソフトから始めるとフォームが身につきやすい
- フォームの基本はグリップの自然な持ち替えと、腰の回転を使った振り抜き。まず素振りで動作を体に覚えさせることが先決
- 練習の進め方は多球練習でフォームを固めてから、1球練習・パターン練習・実戦投入の順に段階を踏む
- 試合での活用は「バック前・バック深め・クロス展開」の3場面を意識し、表面の攻撃と組み合わせることで相手の的を絞らせない
習得への最初の一歩として、まずはラバー選びから始めてみてください。いきなり実戦投入せず、多球練習でフォームを繰り返し確認することが上達の近道です。
ペンホルダーの戦術全体を体系的に学びたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
→ 卓球のペンホルダーの戦術を戦型別に解説|弱点補強からサーブ設計まで

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ペンホルダー裏面打法は動画や記事の説明だけでは、自分のグリップや腕の使い方の微妙な癖に気づきにくく、誤ったフォームのまま練習を続けてしまいがちです。T-timesのコーチはあなたのプレーを直接観察し、その場で修正ポイントを丁寧に指導します。
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