卓球のペンホルダーの戦術を戦型別に解説|弱点補強からサーブ設計まで

ペンホルダーで試合に勝つには、グリップの特性を活かした戦術の選択が鍵になります。フォアの攻撃力は高い一方、バック側の処理が課題になりやすいのがペンホルダーの特徴です。

この記事では、戦型別の戦術設計から弱点の補い方、サーブ戦術・コース取りの実践パターンまでを具体的に解説します。自分のプレースタイルに合った戦い方を見つけて、試合での勝率アップにつなげましょう。

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目次

ペンホルダーの戦術的な特性を理解する

ペンホルダーは、手首の可動域の広さ・サーブの多様性・バック側の3面対応という構造的な特性を持つ戦型です。戦術を学ぶ前にこの構造を理解しておくことで、「なぜこの戦術が有効なのか」という根拠が明確になります。

まずは強みと弱みを整理しましょう。戦術の引き出しを増やすには、自分の武器と穴を正確に知ることが出発点です。

活かせる強みを把握する

  • フォアの可動域が広い:シェークの約90度に対し、ペンは約135度の可動域があります。ラケット先端を後ろ側で打てる構造のため、フォアで広範囲をカバーしやすい。
  • サーブ・台上操作の多様性:手首の自由度が高く、ストップ・フリック・チキータなど台上プレーの精度が上がりやすい。
  • 3面戦術が使える:バック側をショート面・裏面・フォア回り込みの3つで対応できる「3面戦術」は、シェークにはない独自の選択肢です。
  • 軽量化による軽快なスイング:片面仕様なら160〜170g前後に抑えやすく、素早いスイングが可能になります。
  • 希少性による心理的優位:現代はシェーク主流のため、相手がペンの球質・配球に不慣れなケースが多い。ダン・チウ選手も「ペンは相手にとって対策しにくい」と語っています。

戦術で補うべき弱点を把握する

戦術設計で補うべき構造的な弱点
  • バックへの強打が難しい:構造上、バックハンドで強打することが最大の弱点とされています。
  • フットワークの消耗が激しい:バック側を回り込むとフォア側が空き、体力の消耗が大きくなります。
  • 真下回転サーブが出しにくい:ヘッドが下がる持ち方の構造的制約から、深い下回転を出すのが難しい。
  • フォア飛びつき時の精度低下:フォア側に大きく振られた際、強打の正確性が落ちやすい。
  • 裏面ラバーの重量問題:裏面にラバーを貼ると重量が増し、ラケットコントロールへの影響が出ることがあります。
  • 世界トップでの使用者が少ない:2026年時点で世界男子ランキング50位以内のペンホルダーは4位のF・ルブラン選手と9位のチウ・ダン選手の2名のみです。

弱みはあくまで「補うべき課題」です。戦術でカバーできる部分も多いため、次のセクションから具体的なアプローチを解説します。

ペンホルダーの戦型ごとに変わる基本戦術

ペンホルダーといっても、戦術の方向性は「日本式ペン・中国式ペン・ペン粒/反転式」の3タイプで根本的に異なります。同じグリップでも、武器にするショットもバックの処理方法もまったく違うため、まず自分がどのタイプに近いかを把握することが戦術づくりの出発点です。以下の比較表で全体像を確認してから読み進めてください。

タイプ戦術の軸主な武器バック処理
日本式ペン前陣速攻フォアスマッシュ・角度打ちショート
中国式ペン(ペンドラ)両ハンド攻撃フォアドライブ・裏面打法裏面ドライブ・ブロック
ペン粒・反転式変化と守備粒高ブロック・異質切り替え粒高ショート

日本式ペン(前陣速攻型)の戦術

日本式ペンの戦術の本質は「相手に考える時間を与えない」ことです。パワーで押しきるのではなく、先に打つ・早く触るという発想でラリーそのものを封じます。

フォアハンドの破壊力を活かした先手攻撃

台の近くに常に張り付き、ボールが弾んだ直後のタイミングで攻撃する「前陣速攻」が基本スタイルです。フォア側に表ソフトラバー(ボールが速く離れる特性を持つラバー)を貼り、相手の回転に影響されない角度打ちで強打します。

試合で使う打法は1種類に絞らず、以下のように複数持っておくと効果的です。

  • フォアスマッシュ:高いボールを一撃で仕留める基本打法
  • 角度打ち(ミート打法):下回転にも対応できる前陣の主力
  • ドライブ打法:下回転ボールにかけてつなぐ場面で使う
  • 押してかぶせる打法:浅いボールを逃さず攻める場面向け

基本的な得点パターンは「サーブ→台上ストップまたはフリックで先手→フォア3球目攻撃」の流れです。フォアへの誘導を念頭に置いたサーブ設計が重要になります。

表ソフトの「玉離れの速さ」はピッチの速いラリーを維持する用具面の戦術でもあります。ラバー選びと戦術は切り離せません。

ショートで時間を奪いカウンターに繋げる

バックショートはただ当てて返すだけでは機能しません。「伸ばす・横にこすって曲げる・台上で2バウンドするほど止める」など複数の種類を持たせることで、相手の読みを外せます。

特に有効なのが「ナックルショート→フォアカウンター」の連携です。ナックルショート(無回転気味の返球)で相手にドライブをかけさせ、そのミスを誘うか、甘く返ってきたボールをフォアで仕留めます。

  • プッシュショート:速く低く伸ばして相手を下げる
  • ナックルショート:回転を消してドライブのミスを誘う
  • ストップショート:台上で止めて次の攻撃チャンスを作る
  • サイドスピンショート:曲がりで相手のコントロールを乱す
前陣速攻型の注意点
  • 逆モーションやフェイントに引っかかりやすく、コースを読まれると一気に崩れる
  • 対策:ショートの種類を増やして「こう来る」という相手の予測を崩すことが最大の防御になる

中国式ペン(ペンドラ型)の戦術

中国式ペンは裏面にラバーを貼り、フォアとバック両方でドライブを打てる「両ハンド攻撃」が現代の主流スタイルです。シェークに近い攻撃力を持ちながら、ペン特有の手首の自由度を活かした変化球を加えられる点が最大の強みです。

裏面バックハンドで両ハンド攻撃を完成させる

裏面打法は、バック側への下回転ボールに対応するために中国で開発された打法です。現代のペンドラはシェーク選手のバックハンドと同等に裏面を使いこなすことが求められます。

特に注目したいのが裏面チキータ(横上回転をかける台上技術)です。レシーブからの攻撃転換に非常に有効で、ペンホルダーはシェークよりもボールの横・下を捉えやすい構造上、回転と軌道の変化をつけやすいという利点があります(出典: バタフライ卓球レポート「黄鎮廷の裏面チキータ解説」)。

理想形は「バックショート+裏面ドライブ」の両方を使い分けることです。変化と攻撃力のバランスが最もとれた状態になります。試合では「自分のサーブ→コース誘導→裏面3球目攻撃」という流れを練習で体系化しておくと、得点パターンが安定します。

裏面チキータはレシーブから攻撃に転じる「起点」として特に効果的です。試合の流れを作る重要技術として優先的に習得しましょう。

フットワークを使ったオールフォア戦術との使い分け

ペンドラの本質は「両ハンドとオールフォアの両刀」を状況で使い分けることにあります。2004年アテネ五輪金メダリストの柳承敏選手のように、オールフォアに近い戦術スタイルを持ちながら、場面に応じてバックブロックや裏面を使い分けた例が参考になります。

ただし、バックに来たボールを闇雲に回り込むとフォア側が大きく空くため、回り込みの判断基準を持つことが重要です。

  • 相手との距離が近いときは裏面で対応する
  • コースが読めているときのみ回り込みを選択する
  • 試合の終盤・接戦では体力消耗を考慮してリスクを絞る

オールフォアを軸にするにはスタミナと瞬発力が不可欠です。中後陣に下がらない意識と、常に台に近いポジションを維持するフットワーク練習を欠かさないようにしましょう。

ペン粒・反転式ペンの戦術

ペン粒と反転式ペンは「変化で相手を崩す」ことを軸にした戦型です。攻撃力ではなく球質の読みにくさを武器にするため、戦術の発想方法から他のタイプと大きく異なります。

粒高のナックルと変化で相手を翻弄する

粒高ラバー(粒が外側を向いた特殊ラバー)は、相手のドライブ回転を利用してナックル(無回転)で返球します。回転をかけて打つ攻撃型の選手ほど、この返球に対してネットミスしやすくなります。

前陣で粒高ブロックを続けて相手のミスを誘いながら、甘いボールが来た瞬間に即攻撃へ転じる「攻守の組み合わせ」がペン粒の基本スタイルです。

さらに、ペンならではの強みがあります。サービス時には手首を自由に使える構造上、裏ソフトで複雑な回転をかけたサーブを出し、ラリーでは粒高で打つという使い分けはシェークではできません。

ペン粒の効果には上限がある
  • 中学生レベルまでは変化への対応力が低く非常に有効
  • 上位レベルになると粒高の変化に慣れた選手が増え、効果が限定的になる
  • 変化だけに頼らず、攻撃技術と組み合わせて使うことが上達の条件になる

反転を使った異質ラバー切り替えのタイミング

反転式ペンはラリー中にラケットを持ち替えて表裏のラバーを切り替え、球質を変化させる戦術が核心です。裏面に裏ソフトを貼れば、粒高ブロックとの間に「緩急の差・回転量の差」という大きなギャップを生み出せます。

切り替えの効果的なタイミングは以下のとおりです。

  • 相手が粒高ブロックに慣れてきてコントロールが安定し始めたとき
  • 甘いボールが来て攻撃に転じられるチャンスのとき
  • サービス直後のラリー序盤で相手がまだ対応を決めていないとき

ただし、反転は時間的余裕があるときにしか使えないという制約があります。前陣・台際のプレーで相手に時間を与えない展開に持ち込むことが、反転戦術を機能させるための前提条件です。

戦型ごとの戦術の核心まとめ
  • 日本式ペン:先手・速さ・ショートの多彩化でラリーをさせない
  • 中国式ペン:裏面打法と両ハンドの使い分けで攻撃パターンを広げる
  • ペン粒・反転式:変化と攻撃の組み合わせで相手の対応力を超える
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ペンホルダーのバック側の弱点を守る戦術

バック側の弱点は、ペンホルダー最大の課題です。しかし「どう守るか」だけを考えていては試合で勝てません。守りを攻めへの入り口に変える発想こそが、現代ペンの生存戦略の核心です。

このセクションでは、①バックショートで攻撃の勢いを殺す、②回り込みフットワークで仕留める、③裏面打法で弱点を根本から消す、という3段階のアプローチを順番に解説します。弱点を「誘い球」として逆手に取るトラップ戦術も含めて、一緒に確認していきましょう。

バックショートで相手の攻撃の勢いを殺す使い方

バックショートはペン特有の守備技術で、「当てて返球する」のが基本です。ただし、単調に返すだけでは相手のチャンスボールになります。「伸ばす・曲げる・止める」の3種類を使い分けることが、守備から攻撃への転換点になります。

打球のポイントは、ラケットヘッドを斜め上に向けて上から抑えるように打つことです。人差し指に力を入れてラケット面を固定すると、コースのコントロール精度が上がります。

表ソフトラバー使用者は特にナックルショートの変化が大きく、裏ソフト全盛の現代で有効な武器になります。相手のドライブをネットミスに誘い、そのままフォアカウンターへ繋げる「攻守一体の流れ」を意識しましょう。

ショートがチャンスボールになるNG例
  • 毎回同じコース・同じ速さで返す(相手に慣れられる)
  • ラケット面が不安定で浮いたボールになる
  • 無回転なのに深く返しすぎて相手にドライブされる

バック側を狙われたときのフットワークによる回り込み

回り込みとは、バック側に来たボールをフォアで打つために素早くステップして移動する動作です。ペンドラ(ペンホルダーのドライブ型)にとって、フォアの強打につなげるための最重要フットワークといえます。

ただし、回り込んだ後はぜひフォア側が大きく空きます。打球後の素早い戻りを意識しないと、空いたコースを逆に使われてしまいます。

回り込む場面の判断基準は次の3つです。

  • ボールがバック深くに来ていて時間的な余裕がある
  • 自分が中央〜バック寄りのポジションにいる
  • 得点が欲しい場面でリスクを取れる状況

また、バック側の弱点をあえて「誘い」に変える発想も有効です。弱点を突かせて相手の体勢を崩し、回り込みフォアで仕留めるトラップ戦術は、上級者ほど意識的に使います。フットワークとスタミナの強化はペンドラの必須条件。練習では「回り込み→フォアドライブ→素早く戻る」の3点セットを反復しましょう。

中ペンの裏面打法でバック側の弱点を根本から消す方法

裏面打法は、中国ペンのラケット裏面にラバーを貼り、バック側のボールを積極的に打ち返す技術です。下回転ボールへの対応強化を目的に中国で開発され、弱点を守るのではなく、根本から埋めるアプローチとして現在は世界標準になっています。

裏面打法の習得ロードマップ

いきなりラリーで裏面ドライブを使おうとすると挫折しやすいです。次の順番で段階的に取り入れるのがおすすめです。

  • 裏面チキータレシーブ:コースが読めるため実戦導入のハードルが最も低い
  • 裏面3球目攻撃:サーブから連携して得点パターンを作る
  • ラリーでの裏面ドライブ:最も難易度が高く、体の開き・重心移動が必要

バックショートと裏面打法の使い分け

どちらか一方だけに頼るのは相手に読まれやすくなります。変化で崩すショートと、攻撃力のある裏面打法の両方を使えることが理想形です。

ただし正直に言うと、裏面打法プレーヤーの弱点はミドル処理にあります。ショートに切り替える間合いが取りにくいためです。対処法としては、あらかじめ前後のポジション調整を行い、ミドルへの対応をショートと裏面の中間動作として体に染み込ませる練習が有効です。

裏面ラバーは裏ソフトならラリーでの安定性が高く、表ソフトなら変化球が生まれやすい特性があります。ラバーを追加することでラケットの重量が増すため、フォアハンドのスイングスピードへの影響も考慮して選びましょう。

バック側の弱点を守る3段階まとめ
  • バックショート:「伸ばす・曲げる・止める」の3種類でナックルを武器にする
  • 回り込みフットワーク:弱点を誘いに変え、フォアで仕留めるトラップ戦術
  • 裏面打法:段階的に習得し、ショートとの二択で相手を揺さぶる

サーブと台上技術でペンホルダーが有利を取る戦術

サーブと台上技術は、ペンホルダーが構造的に最も優位に立てる局面です。手首の可動域がシェークより広いため、多彩なサーブと精度の高い台上技術を組み合わせやすいのが最大の強みです。

このセクションでは「どのサーブを出す→どのレシーブが来る→3球目・4球目でどう決めるか」という試合の流れに沿って解説します。技術の紹介にとどまらず、試合の主導権を早期に握る起点として活用してください。

手首の自由度を活かした多彩なサーブの出し方

ペンホルダーはシェークと比べて手首を大きく使えるため、サーブ時にスムーズに次のプレーへ移行できます。出せるサーブの幅も広く、相手の読みを外しやすいのが特徴です。

主なサーブの種類は以下のとおりです。

  • 横回転サーブ:曲がりで相手のコースを限定しやすい
  • 下回転サーブ:ツッツキ返球を誘い、3球目ドライブに持ち込む
  • ナックルサーブ:無回転で浮かせてフォアで仕留める
  • 逆横回転(YGサーブ):手首の柔軟性を最大限に活かせる
  • しゃがみ込みサーブ:変化量が大きく相手が対応しにくい

ただし真下回転サーブはペンホルダーの構造上、強くかけにくい制約があります。ほかのサーブでカバーする意識を持ちましょう。

基本パターンはショートサーブ(相手コートで2バウンド以上する短いサーブ)を主軸に組み立てること。強打させない展開を作ってから、3球目で仕留めます。

さらに効果的なのがフェイクモーション(フェイクスイング)の活用です。スイング途中で動きを変えて回転の読みを外すことで、相手のレシーブを乱せます。どのサーブをどのコースに出せばバック側への返球が来やすいかを自分なりにパターン化しておくと、3球目攻撃の精度が格段に上がります。

台上のフリックとチキータで3球目攻撃につなげる

ペンホルダーは肘を伸ばした状態でも台上技術が安定しやすく、フリック・ストップ・チキータの精度がシェークより出やすい構造的優位があります。この特性を3球目攻撃に直結させるのが上達の核心です。

裏面チキータは横上回転が入り変化が大きいため、慣れていない相手には特に効果的です。多くの選手にとって球質が読みにくく、崩しやすい技術です。

試合での使い分けは次の2パターンが基本です。

  • チキータでミドルを攻める→相手のレシーブコースを限定させ、3球目で仕留める
  • ストップで短く返す→相手を前に引き出してから4球目攻撃を待つ

またバックフリックとチキータの組み合わせも有効です。チキータの横への変化と、フリックで打球方向に伸びる軌道を使い分けることで、相手の守備を左右に崩せます。

チキータ後は体が台の中に深く入るため、打球後の素早い戻りが次の展開を左右します。戻りの速さを意識した練習をぜひセットで行いましょう。

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ストップとツッツキで相手の起点を潰す

ペンホルダーの台上技術は「ラリーにしない」という前陣速攻の発想と直結しています。ストップとツッツキを使い分けて、相手に強打の機会を与えない展開を作ることが重要です。

ストップ(相手コートで2バウンド以上するよう低く短く返す技術)は、相手を台の近くに固定させる守備的な局面づくりに機能します。そこにチキータを組み合わせることで前後に揺さぶり、相手の待ちを外してミスを誘発できます。

ツッツキは下回転を維持しながら返球する技術です。相手のドライブを誘い、浮いた球をフォアで仕留めるパターンに持ち込む際に有効です。

実戦でストップとフリックを使い分ける判断基準は以下の3点です。

  • ボールの長さ:コートの深い位置に来たらフリック、短ければストップ
  • 回転量:強い下回転はストップ、弱い回転はフリックで攻める
  • 相手のポジション:後ろに構えているならストップで前に引き出す
サーブ・台上技術の戦術まとめ
  • 手首の自由度を活かした多彩なサーブで相手の読みを外す
  • ショートサーブを主軸に3球目攻撃のパターンを体系化する
  • チキータ・フリック・ストップを使い分けて前後に揺さぶる
  • ストップ→フリックの判断は「長さ・回転量・相手ポジション」の3点で決める
  • 台上技術は「ラリーにしない」前陣速攻の発想と連動させる
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シェークハンド選手に勝つためのペンホルダー戦術

「ペンはシェークに勝てない」という声をよく聞きますが、世界ランキングを見るとそれが固定観念に過ぎないとわかります。フランスのフェリックス・ルブランは世界4位、チウ・ダンは世界9位(2026年時点)をペンホルダーで維持しています。

シェーク選手の強みは両ハンドの安定性とバックハンドの攻撃力です。一方、ミドルが処理しにくい・ペンとの対戦経験が少ないという弱点もあります。「ペンホルダーの希少性」そのものが武器になるのです。相手はペン特有のサーブや球質に慣れていないため、この優位を最大限に活かす戦術設計が重要です。

フォアをワイドに使って相手を走らせる組み立て

ペンホルダーはラケットの可動域が広く、ワイドなコースへの強打が打ちやすい構造的な優位があります。この特性を活かした「揺さぶり」が対シェークの有力な手段です。

基本的な組み立ては次の通りです。

  • まずバック側へ打ってシェーク選手のフットワークを引きつける
  • 次にフォアワイドへ強打して逆を突く
  • 相手がバック寄りに動いたタイミングでフォアが大きく空く

さらにミドルへ打った後にフォアへ動かすと、相手のバックが少し内側に寄るため、空いたフォアが一層狙いやすくなります。コースの連鎖を意識することで、単純な強打より高い効果が生まれます。

また、相手を後陣に下げることで長いラリー戦を回避できます。前陣に留まり続けることがペン有利の条件なので、「自分を前、相手を後ろ」という陣形の維持を常に意識しましょう。

ミドルを突いてバックハンドを封じる

シェーク選手はミドル(体の正面付近)への処理が難しいという特性があります。フォアにもバックにも振り切れない中途半端なコースが、体勢を崩す起点になります。

ミドル→フォアワイドの連続コース変更は、シェーク選手の両ハンドバランスを崩す最も有効なパターンのひとつです。ミドルで体勢を乱したところにフォアへ強打すると、相手は追いつくだけで精一杯になります。

一方、ペンホルダーはミドルに来たボールを比較的処理しやすいという逆の優位も持っています。この非対称性を対戦前から意識しておくと、ラリー中の判断が速くなります。

戦術の前段として、相手バックハンドが得意なコース(クロス・ストレート)をサーブ設計で封じることも重要です。バックの強打コースにボールを入れないことで、相手の最大武器を試合全体を通じて消すことができます。

ラリー戦を避けて短いボールで主導権を握る

シェーク選手は両ハンドのラリーが得意なため、長いラリーに引き込まれるほどペンが不利になります。「ラリーをさせずに勝つ」という発想を戦術の軸に据えましょう。

理想の試合展開は、サービスから3球目・レシーブから4球目での決着です。早い展開に持ち込むための具体的な流れは以下の通りです。

  • 台上の短いボール(ストップ・チキータ)で相手の強打機会を潰す
  • 相手が台上処理に集中した隙にフォアのチャンスボールを作る
  • チャンスボールを確実にフォアで得点する

相手がラリー戦を望んでいると感じたら、コース変更・回転変化・緩急でリズムを崩します。同じ球種・同じコースを続けると、慣れた相手に攻め込まれやすくなります。

試合序盤は多種のサーブを試して、相手が苦手とするパターンを探ることが重要です。ペンのサーブは球質がシェーク選手に馴染みが薄く、序盤に苦手パターンを見つければ中盤以降の展開を有利に組み立てられます。

対シェーク戦術のポイントまとめ
  • 「ペンの希少性」を意識し、相手が慣れない球質を序盤から試す
  • バック→フォアワイドの揺さぶりで相手のフットワークを消耗させる
  • ミドル攻撃でシェーク選手の両ハンドバランスを崩す
  • 台上処理とサーブ設計でラリー戦に持ち込まれない展開を作る
  • 3球目・4球目で決着をつける「早い展開」を徹底する

試合展開別に使いたいペンホルダーの戦術パターン

技術力が拮抗している相手に勝つには、スコアに応じた判断力が欠かせません。リード・ビハインド・デュースの3局面それぞれで最適な組み立てを選べると、勝率は大きく変わります。

ペンホルダーが持つサーブの多様性・変化球・希少性は、どの局面でも強力な武器になります。この3つの特性を状況に合わせて使い分けることで、試合全体の流れを自分に引き寄せましょう。

リードしているときの戦術:ミスを減らして逃げ切る組み立て

リード時は「確実に点を積み上げる」ことを最優先にします。フォア強打でリスクを冒すより、安全な返球とコース変更で相手にミスを誘う堅実戦術に切り替えましょう。

バックショートやツッツキ(下回転で低く返すフォームのこと)で相手に先手を打たせ、甘いボールが来たときだけフォアで決める「誘い球」戦術が有効です。相手が焦ってコースを変えてきても、落ち着いてショートで対応し、フォアカウンターを狙う余裕を持ちましょう。

サーブでも下回転・ナックル(無回転)を交えてラリーを短く終わらせる組み立てを維持し、長いラリーは極力避けます。ストップの精度を高めることで、相手に強打の機会を与えないことを最優先に据えてください。

リード時の心がけ
  • フォア強打より「安全返球+コース変更」を優先する
  • バックショート・ツッツキで誘い球を作る
  • サーブは下回転・ナックルでラリーを短くする
  • ストップ精度を高め、相手に強打の機会を与えない

ビハインドのときの戦術:変化球とコース変更でリズムを崩す

ビハインドのときは、これまでのパターンを思い切って捨てることが逆転のカギになります。相手はすでに自分のサーブを読んでいる可能性が高いため、回転の種類・コース・長さをまとめて変えて習熟を崩しましょう。

普段出さないロングサーブや逆横回転サーブを使うと、相手の「待ち」を外しやすくなります。フットワークを使った回り込みフォア強打で「当たりだしたら止まらない」前陣速攻の破壊力を前面に出すことも有効です。

  • ロングサーブ・逆横回転サーブで相手の読みを外す
  • 逆モーション・フェイクモーションで1本1本を丁寧に積み上げる
  • フットワークを使った回り込みフォア強打でリズムを変える

ペン粒(粒高ラバーを使うペンホルダー)や反転式ペンの場合は、このタイミングで裏面への切り替えを使うと予期しない球質変化で得点を狙えます。また「バック側の弱点を誘い球に変える」という発想も持っておきましょう。弱点を敢えて突かせて崩し、回り込みフォアで仕留めるリスク戦術は、ビハインドが深まる前のタイミングで踏み切るほど効果的です。

デュースになったときの戦術:サーブとレシーブで心理的優位を作る

デュース(10対10)になるとサーブ権が1本交代になるため、1本ごとのサーブ選択が勝敗に直結します。なお、デュース時の1本交代はゲームが10対10になった時点で適用されるものであり、促進ルール(1ゲームが10分を超えた場合に適用)とは別のルールです。混同しないよう注意しましょう。
(出典: 公益財団法人 日本卓球協会「よくあるご質問:ルール」

サーブの選択は「自分が最も得意なサーブ→3球目攻撃パターン」に絞り込みます。選択肢を広げすぎると迷いが生じ、かえってミスが増えます。決め打ちで迷いを排除することが、デュースの1本を制するコツです。

レシーブ時は無理な強打を避け、ストップかバックショートで相手に4球目を打たせましょう。返ってきたボールにフォアカウンターで仕留めるパターンが、ペンホルダーのデュース攻略の基本形です。

ペンホルダーの「希少性」はデュースでも活きます。緊張が高まる場面で慣れない球質は相手に心理的なプレッシャーを与えやすく、わずかなミスを誘いやすくなります。

精神的な安定のために「タオルの使用ルール」を活用する方法もあります。タオルで汗を拭けるのは6ポイントごと、およびゲームとゲームの間のみです。このタイミングをルーティンとして使い、呼吸を整えて集中力を維持しましょう。
(出典: 公益財団法人 日本卓球協会「よくあるご質問:ルール」

デュース時の3つの柱
  • サーブ:得意な1パターンに絞り込み、迷いをなくす
  • レシーブ:ストップかバックショートで4球目を引き出す
  • メンタル:タオルのタイミングをルーティン化して集中力を保つ
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まとめ:ペンホルダーで試合に勝つために今日から実践すること

ここまで解説してきた戦術のポイントを、戦型別・状況別に整理します。ペンホルダーは戦えるグリップです。ただし、戦略と用具の理解を前提に動くことが、勝率を上げる最短ルートです。

「何から手をつければいいかわからない」という方は、以下のまとめを今日の練習の指針にしてください。

戦型別:優先して取り組むべきこと

戦型ごとに、最初に磨くべき技術は異なります。自分の戦型に合った優先課題を確認しましょう。

  • 日本式ペン:バックショートの「伸ばす・曲げる・止める」3種類と、表ソフトのナックル精度を上げることが最初の課題
  • 中国式ペン:裏面チキータレシーブから始め、自分のサーブパターンと裏面3球目攻撃を体系化する
  • ペン粒・反転式:粒高ブロックのナックル変化を安定させ、反転タイミング(相手が慣れてきた局面)の判断力を養う

全戦型共通:今日から始められる3つの行動

戦型に関わらず、すべてのペンホルダーに共通する取り組みがあります。一度に全部やろうとせず、1つずつ積み上げてください。

  • サーブの多様性を磨く:手首の自由度を活かした多種サーブを週1本ずつ習得し、試合で試す
  • 台上技術を磨く:ストップとチキータの精度を上げ、3球目攻撃のパターンを2〜3種類固める
  • バック対策を1つ選ぶ:ショート強化・回り込み練習・裏面習得のどれか1つに集中して取り組む

試合スコア別:判断の習慣を身につける

技術と同じくらい大切なのが、スコアに応じた戦術判断です。咄嗟に動けるよう、パターンとして覚えておきましょう。

状況基本方針
リード時リスクを下げてストップ+フォアカウンターで逃げ切る
ビハインド時サーブとコースを変えて相手のリズムを崩す
デュース時最も得意なサーブ→3球目パターンに絞り込む

試合前に確認したい公式ルール

戦術と並行して、ルール面の確認も欠かせません。特にペンホルダー特有の規定は見落としがちです。

  • 使用ラバーの規定:ITTF公認またはJTTA公認品を使用し、スポンジ含め厚さ4.0mm以下であることを確認する(JTTA公認品一覧で確認)
  • デュース時のルール:サーブ交代・タオル使用は6ポイントごととなっており、把握しておくことが試合中の心理的安定につながる(JTTAよくあるご質問(ルール)で確認)
  • 裏面着色ルール:ラケット片面にラバーを貼らない場合の裏面の着色規定は、ペン選手に特に関係するルール。事前にJTTA公式FAQで内容を確認しておく
ペンホルダーで勝つための要点まとめ
  • 日本式はバックショート3種類の使い分け、中国式は裏面3球目攻撃の体系化が優先課題
  • 全戦型共通で「サーブ・台上・バック対策」のどれか1つから着手する
  • スコア別の戦術判断(リード/ビハインド/デュース)をパターン化して身につける
  • 使用ラバーの公認確認と、ペン特有の裏面着色ルールは試合前にぜひ確認する
  • ペンホルダーは戦える。ただし、戦略と用具の理解があってこそ強みが活きる。

よくある質問

ペンホルダーは現代卓球でも勝てる戦型ですか?

勝てる戦型です。2026年現在、世界男子ランキング4位にF・ルブラン、9位にチウ・ダンがペンホルダーとして活躍しており、トップレベルでも十分通用します。

勝つためのポイントは3つあります。

①裏面またはショートでバック側を補う
②フォアとサーブで先手を取る
③バック側を誘い球に変えて回り込みで仕留める

また、ペン使用者が少ない現代では、相手が慣れていないという「希少性」そのものが戦術的な武器になります。各ポイントの詳細は本文の「戦型ごとに変わる基本戦術」セクションをご覧ください。

日本式ペンと中国式ペンでは戦術はどう変わりますか?

日本式ペンは片面のフォア強打・スマッシュ・表ソフトのナックルを主軸とした前陣速攻型が基本です。バックはショートと回り込みで対応します。

中国式ペン(中ペン)は裏面にラバーを貼ることで両ハンド攻撃が可能になります。裏面チキータや裏面ドライブまで使えると、現代的な攻撃スタイルが完成します。

選択の目安は「一撃必殺の破壊力」を求めるなら日本式、「両面攻撃で現代卓球に対応する」なら中国式です。詳しくは本文の「戦型ごとに変わる基本戦術」セクションで解説しています。

バック側を攻められたときはどう対処すればよいですか?

状況に応じて3つのアプローチを使い分けましょう。

①バックショートで球の勢いを殺してつなぐ
②フットワークで回り込みフォア攻撃に切り替える
③中ペンなら裏面打法でそのまま攻め返す

さらに一歩進んだ発想として、バック側を敢えて突かせて回り込みフォアで仕留める「トラップ戦術」も有効です。弱点を逆手に取って得点源にできます。詳細は本文の「バック側の弱点を守る戦術」セクションをご参照ください。

裏面打法を習得しないとペンドラは難しいですか?

必須ではありませんが、現代のペンドラでは裏面打法が「ほぼ必須」の技術になっています。裏面なしの場合、バックをショートと回り込みだけで補うため、体力・フットワーク能力が高くないと上位レベルで限界を感じやすくなります。

習得の最初の一歩としては「裏面チキータレシーブ」がおすすめです。ランダム性が低くタイミングが合わせやすいため、裏面技術の中で最も難易度が低いとされています。

詳しくは本文の「中ペンの裏面打法でバック側の弱点を根本から消す方法」セクションをご覧ください。

ペンホルダーでシェークの選手に勝つには何を意識すればよいですか?

次の3点を意識してください。

①ラリー戦を避けて早い展開で決める
②ミドルとフォアワイドへのコース変更で相手を走らせる
③サーブの多様性と希少性を最大限に活かす

シェーク選手はペンと対戦する機会が少ないため、ペン特有のサーブ・裏面・ナックルに慣れていないことが多いです。序盤に多種サーブを試して相手の苦手パターンを見つけることが勝利への近道です。詳細は本文の「シェークハンド選手に勝つためのペンホルダー戦術」セクションで解説しています。

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