巻き込みサーブは、ラケットを体の内側に巻き込むように振ることで強烈な横回転・横下回転を生み出せるサーブです。フォームさえ身につければ、初心者でも試合で使える武器になります。
基本フォームから回転の出し分け方、練習法、試合での活用戦術まで一気に解説します。「なんとなく出せるけど回転が弱い」「相手に読まれてしまう」という悩みも、ここで解決しましょう。

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巻き込みサーブとは
巻き込みサーブは、ラケットを体の内側から外側へ「巻きつけるように」スイングして打つサーブです。独特なフォームから生まれる逆横回転(左横回転)が最大の特徴で、女子日本代表選手を中心に近年人気が急上昇しています。
「巻き込み」という名前は、ラケットと腕を体に巻き込むように振るスイング動作がそのまま名前になっています。
ボールの右側後方(外側)を捉えながらスイングするのがポイント。この動作によって、右利きの場合は反時計回りの左横回転がかかります。
この回転は「逆横回転」とも呼ばれ、相手のラケットに当たるとサーバーのフォア側へ返球されやすくなるという特性があります。あらかじめポジションを取って攻撃につなげやすいのが魅力です。
- ラケットを体の内→外に巻き込むスイングで打つサーブ
- 右利きの場合、反時計回りの左横回転(逆横回転)がかかる
- 上回転・下回転・ナックルを同じフォームで出せる欺瞞性が高い
- 女子日本代表を中心に広く使われ、近年人気が高まっている
巻き込みサーブの最大の強み
上回転・下回転・ナックル(無回転)をほぼ同じモーションで出せる点が、このサーブの最大の武器です。
スイングのどこでボールを捉えるかを変えるだけで球種が変わるため、相手は回転を見極めにくくなります。レシーバーを迷わせてミスを誘えるのです。
- 上回転・下回転・ナックルを同じフォームで出せる
- 逆横回転で相手をフォア側に動かせる
- フォーム習得後は変化のバリエーションが広がりやすい
似ているサーブとの違い
逆横回転系のサーブには、バックサーブ・YGサーブ・巻き込みサーブがあります。どれも同じ「左横回転」をかけますが、スイング動作が異なります。
| サーブ名 | スイングの特徴 | 難易度の目安 |
|---|---|---|
| 巻き込みサーブ | 腕全体を内→外へ巻き込む | 中級者向け |
| バックサーブ | バック面でボールを横に切る | 比較的やさしい |
| YGサーブ | 肘を支点に内→外へスイング | 上級者向け |

巻き込みサーブを覚えるメリット
巻き込みサーブは、習得すれば試合を大きく有利に動かせるサーブです。「回転が読まれにくい」「強い回転をかけやすい」「3球目攻撃につなげやすい」という3つの強みがあり、初中級者にとって特に価値の高い武器になります。
モーションがシンプルで回転・コースが読まれにくい
巻き込みサーブはスイングの動作がシンプルなため、相手からするとどんな回転がかかっているのか、どのコースへ来るのかが非常に見極めにくいサーブです。
バックスイング時にラケットが体の後ろに隠れる構造上、相手からラケット面が見えにくくなる点も大きな特長です。さらに、フォロースルーの方向を変えるフェイクモーション(打球後にラケットを大きく振り上げる動き)を加えることで、上回転か下回転かの判断をさらに難しくできます。
通常の順横回転サーブと比べて回転の種類が読まれにくいため、相手のレシーブが甘くなりやすいのも実戦での大きなメリットです。
腕全体を使えるため強い回転をかけやすい
巻き込みサーブはフォアハンドの打球動作に近いスイングのため、腕全体を大きく使いやすく、比較的強い回転をかけやすいサーブです。
肘を背中側に引いてバックスイングし、腰のひねりと体重移動(右足→左足)を連動させることで回転力をさらに高められます。腰のひねりがボールの回転力を高める原動力になる点が、このサーブの大きな特長です。
下回転・上回転・ナックルを同じフォームで出せる
巻き込みサーブ最大の強みは、スイングスピードとフォームを同じにしたまま、ボールに当てる位置だけを変えることで回転の種類を出し分けられる点です。相手はフォームを見ても回転を判断できません。
- ボールの外側上部を捉える → 横上回転
- ボールの外側下部を捉える → 横下回転
- ボールの外側中央を薄く捉える → 横回転(ナックル気味)
また、逆横回転の性質上、相手のレシーブがフォア側に集まりやすくなります。フォアドライブを得意とする選手にとっては、3球目攻撃の起点として非常に有効です。
- 自分のサーブの回転が相手の返球にも残るため、3球目で返ってくるボールが曲がる場合がある
- 返球の軌道を事前にイメージして構えておくことが、3球目ミスを減らすポイント
- スイングがシンプルで回転・コースが読まれにくい
- 腕・腰・体重移動を使って強い回転をかけやすい
- 同一フォームから横上・横下・ナックルを出し分けられる
- 相手のレシーブがフォア側に集まりやすく3球目攻撃に有利
巻き込みサーブの回転の仕組み
巻き込みサーブの回転は、スイングの向きとインパクト位置の2つの要素で決まります。この仕組みを理解しておくと、出し方の各ステップがスムーズに身につきます。逆横回転がなぜ生まれるのか、原理から整理していきましょう。
逆横下回転・逆横上回転が出る原理
右利きの場合、ラケットを左から右斜め前へ鋭くスライドさせます。このとき、ボールの右側後方を包み込むように捉えることで、左横回転(反時計回り)が生まれます。これが巻き込みサーブの基本的な回転の正体です。
横回転をベースにしながら、手首のスナップの向きによって上・下・純横の3種類に変化します。
- 逆横上回転:バウンド後に伸びて加速する軌道をとる
- 逆横下回転:バウンド後に沈む軌道をとる
- 横回転(ナックル系):バウンド後に横へ鋭く逃げる軌道をとる
回転ごとのインパクト位置の違い
巻き込みサーブの本質は「回転の量より当たる位置の違い」にあります。スイングスピードとフォームはほぼ同じ。変えるのはインパクト位置だけです。この感覚をつかむことが上達の近道です。
ボールを時計に見立てると、打球位置のイメージは次のようになります。
| 回転の種類 | 打球位置(時計で例えると) | 手首の動き |
|---|---|---|
| 逆横上回転 | 右斜め上(1〜2時方向) | 上方向にスナップ |
| 純横回転 | 右側中央(3時方向) | 水平にスライド |
| 逆横下回転 | 右斜め下(4〜5時方向) | 下方向にスナップ |
また、ラケット面のどの部分に当たるかでも変化します。ラケット左下に当たると逆横下回転、左中央に当たると純横回転に近くなります。スイング自体は同じなので、インパクト位置を意識するだけで相手に読まれにくくなります。
- 左から右斜め前へのスライドで左横回転(反時計回り)が生まれる
- 手首の向き(上・水平・下)でインパクト位置が変わり、回転の種類が決まる
- スイングスピードとフォームを固定し、当たる位置だけを変えるのがコツ
巻き込みサーブの基本的な出し方・フォーム
巻き込みサーブは、構え→バックスイング→スイング→フォロースルーの4ステップで習得できます。まず全体の流れをつかんでから、各ステップを確認していきましょう。なお、すべて右利きを前提に解説しています。左利きの方は左右を逆にして読んでください。
① 構え方:ラケット面を立てて横向きに配置する
ラケットのヘッド(先端)を横に倒し、腕・手首・ラケット先端が一直線になるように構えます。ラケット面は卓球台に対して垂直(90度)に立てましょう。
打球面を相手に向け、ボールの右横にラケットを配置します。肘は90度に曲げ、体の側面に沿わせるのがポイントです。
- 左足を軸に構え、右足に重心をかけてバックスイングの準備をする
- トスはなるべく体に近い位置で行う(打球の瞬間が相手から見えにくくなる)
② バックスイング:肘を後ろに引いてためを作る
トスと同時に肘を背中側へ引き、ラケットが体の後ろに隠れるようにします。こうすることで相手からラケット面が見えにくくなり、欺瞞効果(どんな回転か読まれにくくなる効果)が生まれます。
体重を右足側に移動しながら腰をひねり、しっかりとためを作りましょう。ラケットと肘だけでなく、体全体の重心を後ろに移すことが大切です。
③ スイング:体に巻きつけるように打球する
肘を戻しながら体を回転させ、ラケットを左から右斜め前へ鋭くスライドさせます。左足に体重移動しながら腰の回転を使うことで、回転力がぐっと増します。
ボールの右側外方を擦るように当て、打球の瞬間に手首を内側にスナップさせることで回転量がさらに増します。体の近くで打球すると、相手が短く返しにくいサーブになります。
- ラケットを左から右斜め前へスライドさせる
- 腰の回転に合わせて左足に体重移動する
- ボールの右側外方を包み込むように擦る
- 打球の瞬間に手首を内側にスナップする
④ フォロースルー:回転の種類をバレにくくする
打球後のフォロースルーでは、毎回同じモーションを保つことが欺瞞性と安定性の両立につながります。大げさに手首を動かして回転をかけても、フォロースルーで変化させてしまうと相手に読まれてしまいます。
フェイクモーション(相手を惑わせる動作)の使い方は次の通りです。
- 横上回転を出した後:ラケットをあえて下に持っていく
- 横下回転を出した後:ラケットをあえて上に持っていく
打球後にラケットを台の下に隠す動作も有効です。回転の種類と逆方向にラケットを流すことで、相手の判断を大きく狂わせられます。
- 構え:ラケット面を台に垂直に立て、ボールの右横に配置する
- バックスイング:トスと同時に肘を後ろへ引き、体全体でためを作る
- スイング:腰の回転を使い、ボールの右側外方を手首スナップで擦る
- フォロースルー:毎回同じモーションを保ち、フェイクで回転を隠す

回転別|巻き込みサーブの出し分け方
巻き込みサーブの核心は、同じフォームから異なる回転を出し分けることにあります。相手に回転を読まれなければ、それだけでサーブが強力な武器になります。
ここでは横下回転・横上回転・横回転(ナックル)の3種類を、それぞれの角度・擦り方・手首の使い方に分けて解説します。
横下回転(下回転系)の出し方
横下回転は、バウンド後に沈む軌道になるため、相手にツッツキを誘いやすいサーブです。まず角度と振り方から確認しましょう。
ラケット面の角度と振り方
面をやや立てた(垂直に近い)状態で構えます。そこから斜め上から斜め下方向へ振り下ろすイメージでスイングします。
インパクト時は、ボールの右斜め下を打球し、外側を斜め上から斜め下に擦ります。ラケットの左下部分にボールを当てることで、逆横下回転になります。
手首・フォロースルーのポイント
手首を下方向にスナップさせると、回転量が大きく増します。
横上回転との落差を大きくするためには、できるだけしっかり下方向に回転をかけることが効果的です。メリハリをつけることで、相手の判断をより難しくできます。
- 面をやや立て、斜め上→下へ振り下ろす
- ボールの右斜め下を外側から擦る
- 手首を下方向にスナップして回転量アップ
- バウンド後に沈む軌道でツッツキを誘える
横上回転(上回転系)の出し方
横上回転は、バウンド後にボールが伸びて加速するため、相手がツッツキで持ち上げると浮いてしまいます。横下回転と構えを同じにすることが最大のポイントです。
ラケット面の角度と振り方
横下回転と同様に、面をやや立てた状態で構えます。そこから振り下ろしながらヘッドを下げ、ボールの下にラケット面を持っていくのが横上回転との分岐点です。
インパクト時は、ボールの右斜め上を打球し、外側を斜め上に擦り上げます。ボールの上側を捉えるほど、バウンド後の伸びと加速が強くなります。
手首・フォロースルーのポイント
手首はラケット先端を跳ね上げるように上方向にスナップさせると、強い上回転がかかります。
フォロースルーをラケットの台の下に持っていくと、ラケット面の角度を隠せて回転の判断をさらに難しくできます。短い横上回転は習得難易度が高めですが、使いこなせると大きな武器になります。
- 構えは横下回転と同じ(ここが欺瞞の肝)
- ヘッドを下げてボールの下にラケットを入れる
- ボールの右斜め上を擦り上げる
- 手首を上方向にスナップ→強い上回転
- フォロースルーを台の下へ隠すと回転が読まれにくい
横回転(ナックル)の出し方
横回転(ナックル気味)は、下回転・上回転とまったく同じフォームから出せるのが最大の強みです。相手の判断を惑わせる効果がとくに高い変化球です。
ボールの右側中央を打球し、純粋に横方向に擦ります。ラケットの左真ん中にボールを当てるイメージです。バウンド後に横に逃げる軌道をとるため、相手が上下回転と同じ角度でラケットを出すと対処しにくくなります。
| 回転の種類 | 擦る位置 | 手首の方向 | バウンド後の軌道 |
|---|---|---|---|
| 横下回転 | 右斜め下 | 下スナップ | 沈んで止まる |
| 横上回転 | 右斜め上 | 上スナップ | 伸びて加速 |
| 横(ナックル) | 右側中央 | 横に擦る | 横に逃げる |
巻き込みサーブを安定させる5つのコツ
巻き込みサーブは「なんとなく出せる」状態から「安定して使える武器」にするまでが難しいサーブです。ここでは初心者がやりがちなミスと紐づけながら、改善のポイントを5つに絞ってお伝えします。
コツ①:手の力を抜いてリラックスして振る
巻き込みサーブで最初に詰まるのが、力みによる「棒球」問題です。手に力が入りすぎると、インパクトが強くなりすぎてボールを薄く擦れず、回転がかからない甘いサーブになります。
脱力することでラケットの先端が走り、自然とボールを薄く捉える感覚がつかみやすくなります。グリップは「軽く握る」くらいのイメージで構いません。
- 力んでラケットを押し付けるように当ててしまい、回転がかからず棒球になる
コツ②:ラケットの角でボールを薄く捉えるイメージを持つ
「ラケットのどこでボールを当てるか」を意識するだけで、回転量が大きく変わります。ラケットの先端付近で捉えると遠心力が使えて、回転がかかりやすくなります。
「角でボールをなぞる」イメージを持つと、面に厚く当たりすぎるミスを防げます。最初は手元ではなく先端でこするよう意識してみましょう。
- ラケット面全体でボールを当ててしまい、回転ではなく弾きになってしまう
コツ③:打球時に手首を素早く使う
回転量を増やすには、手首のスナップが欠かせません。打球の瞬間に手首を内側に素早くスナップさせることで、回転量が一気にアップします。
- 逆横上回転を出す場合 → 手首を上方向にスナップ
- 逆横下回転を出す場合 → 手首を下方向にスナップ
ただし、手首の動きが大きすぎると相手に回転の種類を読まれてしまいます。スナップは素早く・コンパクトに行うのがポイントです。
- 手首を使わず腕全体だけでスイングして、回転量が不足する
コツ④:トスを高くしすぎない
日本卓球協会(JTTA)の競技規則では、サーブのトスは16cm以上ほぼ垂直に上げることが定められています。
(出典: 日本卓球協会「競技規則」)
ルールを満たしつつも、慣れないうちはトスを高くしすぎないのがコツです。トスが高すぎるとボールを見失い、タイミングがずれてミスにつながります。
- トスを高くしすぎてボールを見失い、タイミングがずれる

コツ⑤:フォロースルーまで同じモーションを保つ
巻き込みサーブの最大の強みは欺瞞性(ぎまんせい)、つまり相手に回転を読まれにくい点にあります。しかし、フォロースルーが回転ごとに変わってしまうと、相手にすぐ読まれてしまいます。
フォロースルーを均一化することが、欺瞞性を最大化する最重要ポイントです。慣れてきたら、以下のフェイクモーションも取り入れてみましょう。
- 横上回転を出した後 → ラケットを下方向へ流す
- 横下回転を出した後 → ラケットを上方向へ流す
- 回転ごとにフォロースルーが変わってしまい、相手にすぐ読まれる
- 手の力を抜く:脱力でラケット先端が走り、薄く擦れる
- ラケットの角で捉える:遠心力を使って回転量アップ
- 手首をコンパクトにスナップ:素早く・小さく動かして回転量を増やす
- トスは高くしすぎない:安定を優先し、慣れたら高さを上げる
- フォロースルーを均一化:同じモーションで相手に回転を読まれない
巻き込みサーブの練習方法
巻き込みサーブの習得は、「回転をかける感覚→台上で出す→長さ・コースの出し分け」の3ステップが基本です。いきなり台で練習すると、回転よりもコースや長さが気になってしまい、なかなか上達できません。段階を追って練習することで、確実に身につけられます。
Step1:台なしで回転をかける感覚をつかむ
最初は台を使わず、回転をかけることだけに集中しましょう。台があるとコースや長さが気になり、肝心の回転がおろそかになりがちです。
練習方法は次の2つが効果的です。
- ボールの外側(右側)を薄く擦るように打ち、床にバウンドさせる。ボールが曲がれば逆横回転がかかっている証拠
- 自分の真上に向かってボールをトスし、回転をかけながら真っすぐ上げる練習をする
スピードや威力は一切不要です。「ボールを切る・薄く擦る」感覚をつかむことだけを目指してください。回転がうまくかからない初心者は、ぜひここからスタートしましょう。
Step2:台上で実践し、短いサーブを習得する
回転の感覚がつかめたら、台上で実践に移ります。最初はコースや長さは気にせず、逆横回転をしっかりかけることだけを意識してください。正しいフォームの習得を最優先にし、サーブが入らなくても最初は気にしないのがポイントです。
回転が安定してきたら、台上で2バウンドする短いサーブを練習しましょう。自陣コートでのバウンドをネット付近に来るよう調整すると、自然と短いサーブになります。
Step3:長さ・コースの出し分けを組み込む
短いサーブが安定して出せるようになったら、同じフォームから長いサーブも出し分ける練習に進みます。フォームを変えると相手に読まれてしまうため、見た目は同じで結果が変わることが重要です。
出し分けのコントロールは、次の3つを試行錯誤しながら身につけていきましょう。
- 力加減を変える(長いサーブはある程度スピードを出す)
- 自陣でのバウンド位置を変える
- 打つタイミングを変える
上回転系と下回転系の打ち分けも、次の目標として意識してみてください。フォア前(短)とバック深(長)の出し分けができると、試合で即使えるレベルに到達できます。スマホで自分のフォームを録画して客観的に確認すると、上達スピードがぐっと上がりますよ。
- Step1:台なしでボールの外側を擦り、逆横回転をかける感覚をつかむ
- Step2:台上で逆横回転を意識しながら、2バウンドする短いサーブを習得する
- Step3:同じフォームから短い・長い、上回転・下回転を出し分けられるよう磨く
試合で使える巻き込みサーブの戦術
サーブを覚えたら、次は「どう点を取るか」まで考えましょう。巻き込みサーブは逆横回転の性質を持つため、相手の返球が予測しやすく、3球目攻撃との相性が抜群です。
ここでは「どこに出すか→相手はどう返すか→どう攻めるか」という流れで、実戦的な戦術を3つ紹介します。
フォア前に短く出してツッツキを誘う
横下回転の巻き込みサーブをフォア前に短く出すと、相手は台に邪魔されて強打しにくい状況になります。結果、ツッツキで低く返すしか選択肢が絞られます。
さらに、巻き込みサーブ特有の逆横回転の影響で、相手のツッツキはサーバーのフォア側へ集まりやすくなります。これを事前に読んでおけば、フォアドライブで先手を取れます。
- フォア前に短い横下回転の巻き込みサーブを出す
- 相手が台に詰まってツッツキで返球する
- 返球がフォア側へ来ることを読んで、フォアドライブで3球目攻撃
バックへのロングサーブで前後に揺さぶる
フォア前の短いサーブを意識させておいてから、バック側へ速くて深いロングサーブを出します。前後の揺さぶりで相手は対応が遅れ、甘い返球を引き出しやすくなります。
また、台から出るか出ないかギリギリの長さ「ハーフロング」をフォアサイドへ出す戦術も有効です。相手がつないできたところをカウンターで仕留める展開が作れます。

巻き込みサーブからの3球目攻撃パターン
巻き込みサーブは回転の種類によって、相手の返球パターンが変わります。2つの代表的な組み合わせを押さえておきましょう。
| サーブの回転 | 相手の返球 | 3球目の狙い |
|---|---|---|
| 横下回転・短・フォア前 | フォア側へのツッツキ | フォアドライブで攻撃 |
| 横上回転(上回転系)・短・フォア前 | ドライブまたはプッシュで持ち上げ | カウンタードライブで攻撃 |
逆横回転の性質上、相手の返球がフォア側へ集まりやすいため、フォアドライブが得意な選手にとって特に有利な展開を作れます。
また、同じ右利き同士の対戦では、巻き込みサーブが相手のバック側へ逃げるように曲がります。これがチキータ(バックフリック)を封じる一手にもなります。
- 横下回転をフォア前に短く出し、ツッツキを誘ってフォアドライブで3球目攻撃
- ロングサーブとの前後の揺さぶりで、相手の甘い返球を引き出す
- 逆横回転の性質でレシーブがフォア側に集まりやすく、フォアドライブ得意な選手に特に有効
- チキータ封じの一手としても活用できる

よくある失敗と改善ポイント
「練習したのに上手くいかない」と感じたときは、原因を正確に特定することが近道です。ここでは巻き込みサーブでよくある失敗を3つのパターンに分け、原因と改善策をセットで解説します。自分の症状に近いものから確認してみてください。
回転がかからない原因を直す方法
巻き込みサーブで回転がかからない最大の理由は、ボールを「押して」しまい、うまく「擦れていない」ことがほとんどです。
主な原因をまとめると、次の4つに集約されます。
- 手に力が入りすぎ:グリップを強く握ると、ボールを押す動きになってしまう
- ラケット面の当て方が厚すぎ:面全体で捉えると、薄く擦ることができない
- 手首のスナップ不足・スイングが遅い:スピードが出ないと回転量が落ちる
- ラケット面の角度がズレている:逆横回転(シュート回転)がかかりにくい向きになっている
改善策は以下のとおりです。
- 脱力してラケットの先端付近でボールを薄く擦る感覚を、台なし練習(素振り+実打)でつかむ
- 打球の瞬間だけ手首を素早くスナップさせることを意識する
- 床に向かって打つ・紙コップを標的にするなど、ボールの曲がりを目視で確認しながら練習する
ネットミスが多い原因を直す方法
ネットミスが続く場合、打球の角度と高さに原因があることがほとんどです。
主な原因は次の3つです。
- 打球点が高すぎる:高い位置から打つと入射角が急になり、ネットを越えにくくなる
- ラケット面が下を向きすぎ:ボールをネット方向に押し込む形になってしまう
- スイングの力量が不足:粘着ラバー使用時は特に弾みが弱く、力が足りないとネットにかかりやすい
改善策は以下のとおりです。
- できるだけ低い位置で打球し、ボールがネットに対して上向きに出るよう角度を調整する
- ラケット面を垂直に近い状態に保ち、ボールを上方向に擦る意識を持つ
- 自陣コートでのバウンド位置をネット寄りに調整して、入射角を浅くする
サーブが安定しない原因を直す方法
安定しない多くの場合、フォームやトスに「毎回ズレ」が生じています。感覚だけで練習を続けると、ミスの原因を特定しにくくなるので注意が必要です。
主な原因は以下のとおりです。
- フォームのばらつき:肘の引き方・体の向き・打球位置が毎回異なると、回転もコースも安定しない
- トスが不安定:高さや位置がズレると、ボールが落ちてくるタイミングが毎回変わってしまう
- 回転ごとにスイングが変わっている:本来はどの回転でもスイングをなるべく統一するべき
改善策は以下のとおりです。
- 体の向きと肘の位置を毎回同じにすることを意識する。これだけで回転量とコントロールが大きく向上する
- トスは体の近くで垂直に上げ、打ちやすい一定の高さに固定する。なおJTTAの競技規則では、トスは16cm以上上げることが義務づけられている(出典: 日本卓球協会「競技規則」)
- 自分のサーブを動画撮影して、客観的にフォームの乱れを確認・修正する
- 回転がかからない→脱力して薄く擦る感覚を台なし練習で身につける
- ネットミスが多い→低い打球点・垂直に近いラケット面・バウンド位置の調整で改善
- サーブが安定しない→フォームとトスを固定し、動画で客観的にチェックする
よくある質問
巻き込みサーブは初心者でも習得できますか?
はい、初心者にもおすすめのサーブです。スイングの動きが通常のフォアハンド打球に近いため、動作に慣れやすいのが特徴です。
まずは台なしでラケットにボールを乗せて回転をかける感覚をつかむところから始めましょう。回転がかかる感覚さえ身につけば、比較的早く実戦で使えるサーブになります。
巻き込みサーブに向いているラバーはありますか?
裏ソフトラバー全般で使用できます。回転量を増やしたいなら、シートの粘着性によりボールとの接地時間が長くなる粘着系ラバー(粘着テンション含む)が有利です。
ただし粘着ラバーは弾みが弱くなる面もあります。初心者はまず扱いやすいテンション系裏ソフトで基本を習得してから、粘着系へ移行するのも一つの方法です。
なお、公式試合ではJTTA・ITTF公認のラバーを使用する必要があります。購入前に公認ラバーリストを確認しておきましょう。
巻き込みサーブのレシーブ(返し方)はどうすればいいですか?
右利きが出す巻き込みサーブには反時計回りの回転がかかっています。そのままラケットに当てると、レシーバーから見て左方向(サーバーのフォア側)へボールが流れやすいです。
基本の対応は、ラケット面を右方向に向けて相手のバック側を狙うこと。また、横下回転か横上回転かを見極めることが安定したレシーブの鍵になります。
回転の判断に迷ったときは、回転の向きより「ボールの長さとバウンドの深さ」を優先して見ると判断しやすくなります。
巻き込みサーブを使いこなしているプロ選手はいますか?
多くのトッププロが使用しています。日本代表では平野美宇選手が特に得意とし、世界卓球やオリンピックの重要な場面でも多用していることで知られています。
ほかにも伊藤美誠選手・早田ひな選手・石川佳純選手・加藤美優選手など、日本女子トップ選手に広く使われているサーブです。海外では馮天薇選手(シンガポール)や杜凱栞選手(中国香港)もエースサーブとして活用しています。
女子選手を中心にトッププロが多用しているサーブだけに、習得できれば大きな武器になります。
まとめ
巻き込みサーブの基本から実戦投入までの要点を、最後にまとめて整理します。ここを読み返すだけで練習のポイントが確認できるので、ぜひ練習前のチェックリストとして活用してください。
- 【定義】腕とラケットを体に巻きつけるようにスイングし、右利きなら左横回転(逆横回転)をかけるサーブ
- 【最大の強み】スイングスピード・フォームを同じにしたまま、当たる位置だけを変えて横下・横上・ナックルを出し分けられる欺瞞性の高さ
- 【手順①】ラケットを横向き・面を台に垂直にして構え、打球面を相手に向けボールの右横にセット
- 【手順②】トスと同時に肘を背中側に引いてバックスイングをとる
- 【手順③】体に巻きつけるようにスイングし、腰の回転と体重移動を使いながらボールの右側外方を薄く擦る
- 【手順④】フォロースルーまで同じモーションを保ち、回転の種類をバレないようにする
- 【安定させる5つのコツ】①脱力してリラックス ②ラケット先端で薄く捉える ③手首を素早くスナップ ④トスを高くしすぎない ⑤フォロースルーを均一化
- 【練習ステップ】Step1:台なしで回転感覚をつかむ → Step2:台上で短い2バウンドのサーブを習得 → Step3:長さ・コースの出し分けを練習
まず台なし練習から始めて、回転をかける感覚をつかむことが最短習得の近道です。
平野美宇選手・伊藤美誠選手ら日本のトップ選手も多用するサーブだけに、習得できれば試合の得点源となる強力な武器になります。焦らず一歩ずつ積み上げていきましょう。

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