卓球のダブルスは、個人の技術だけでなくペアとの連携と戦術の組み合わせが勝敗を大きく左右します。「なんとなく打っているだけで崩される」「サーブやレシーブで主導権を取れない」と悩んでいませんか?
この記事では、サーブ・レシーブ・ラリーの各局面ごとに、初級〜中級プレイヤーがすぐ実践できる具体的な戦術を体系的に解説します。ペアとの動き方や声かけのポイントまで網羅しているので、試合でのイメージが明確につかめます。

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ダブルスはシングルスとここが違う
ダブルスは「自分が勝つ」種目ではなく、「ペアとして機能する」種目です。どれだけ個人技が高くても、2人がかみ合わなければ勝てません。
シングルスと同じ感覚で試合に臨むと、動き方・戦術の設計・メンタル面すべてでズレが生じます。まずはダブルス特有の3つのルールと、その背景にある根本的な違いを押さえましょう。
ダブルス特有の3つのコアルール
公益財団法人日本卓球協会の競技規則(2025年6月1日改定)では、ダブルスに関して以下のルールが定められています。
(出典: 公益財団法人日本卓球協会「競技規則(2025年6月1日改定)」、同「卓球の基本的なルール」)
- サーブコースの限定:自コートの右半面から相手コートの右半面へ、対角線方向にのみサーブを入れなければならない
- 交互打球:A→X→B→Y→A…の順で、ペア2人が多くの場合1球ずつ交互に打つ
- ローテーション:2本ごとにサーバーが交替し、レシーブした選手が次のサーバーになる
シングルスと戦術設計が根本的に異なる理由
シングルスでは、コース・回転・スピードをすべて自分の判断で自由に設計できます。しかしダブルスは、サーブを打てるのがコートの半面だけに限られます。
コースが絞られる分、レシーブ側がボールの来る方向を読みやすくなります。そのため、ダブルスはレシーブ側がやや有利とされ、サーブ側はより精度の高い回転・長さのコントロールが求められます。
さらに「交互打球」があるため、自分が打った後はぜひパートナーに場所を譲る動きが必要です。「1球ごとに自分とパートナーが役割を分担する」という発想が、ダブルス戦術の出発点になります。
- ダブルスは「ペアとして機能する」ことが前提の種目
- サーブは右半面→右半面の対角線限定、ペアが交互打球、2本でローテーションの3ルールが核心
- サーブコースが限定されるためレシーブ側がやや有利になり、戦術の設計方法がシングルスと根本的に異なる
- 「1人で完結させない」という思想がダブルス戦術のすべての基本になる

ダブルスで勝つために意識すべき2つの基本思想
局面ごとの戦術を覚える前に、まず「大前提」となる考え方を押さえておきましょう。戦術とは「相手を力で打ち負かすこと」ではありません。「こちらがミスをしない」×「相手にミスをさせる」の二軸で組み立てるものです。この思想がブレると、どんな技術も活かせなくなってしまいます。
基本思想①:常に「パートナーが打ちやすいか」を最優先にする
ダブルスは2人が交互に打つ競技です。つまり自分の一打はすべて「パートナーへのアシスト」と捉えるのが正しい見方になります。
次に打つのは自分ではなくパートナー。だからこそ「この一球を打った後、パートナーが動きやすいか・打ちやすいか」を常に頭に置くことが大切です。
たとえば、フォアクロスへ強打して相手に読まれブロックされた場合を考えてみましょう。相手はニュートラルな体勢から余裕をもってブロックできるため、パートナーは苦しいボールを処理せざるを得ない状況になります。このような場面では、ストレート攻撃や安全なつなぎ球を選ぶほうが得策です。
難しい体勢で打つ場面では、無理に強打せず高い弧線で奥を狙うことも有効です。時間を稼ぐことで、パートナーが動く余裕を生み出せます。
- 強打よりつなぎ球でパートナーの体勢を整えさせる
- 難しい体勢のときは高弧線・奥狙いで時間を稼ぐ
- サーブ前にサインで回転・コース・準備位置を共有する
基本思想②:ミスをしないことが最強の戦術になる理由
戦術の優先順位は明確です。まず「こちらがミスをしない」こと、その上で「相手の弱点を突いてミスを誘う」のが正しい順番です。攻撃はあくまで二番目に来るものです。
ダブルスはコースが限定されるぶん、相手も返球コースを読みやすい環境でプレーしています。そのため、確実につなぐラリーが「思い切った攻撃によるミス」より価値が高い場面は少なくありません。
たとえば9-9の接戦で、それまで一度もやっていなかったレシーブ強打を突然試みるのは非常にリスクが高い行動です。慣れていない技術を重要局面で使うほど、ミスの確率は上がります。
「ミスをしない」はパッシブな守りではありません。ラリーを続けてプレッシャーをかけ続けることは、相手ペアのミスを引き出すアクティブな戦術です。
- 接戦の終盤で、練習していない技術をぶっつけ本番で試みる
- 決まらなくても強打を繰り返し、パートナーに苦しい体勢を作らせる
- 難しいボールを無理に攻撃してミスし、流れを相手に渡す
ミスを減らすためには、次の3点を意識してみてください。
- フォアハンドを優先して安定した打球を心がける
- ストレート方向を選んでパートナーの視界と動線を確保する
- 難しいボールは無理せず繋いでチャンスを再構築する
技術局面別の卓球ダブルス戦術|サーブ・レシーブ・ラリーの設計
試合はサーブ→レシーブ→ラリーの3局面で構成されます。ダブルスではこの3局面それぞれをペアで設計して戦うことが重要です。
ダブルスはサーブコースが対角線に限定されるため、レシーブ側がやや有利とされています。だからこそサーブ側は「どう3球目攻撃につなげるか」、レシーブ側は「その有利をどう活かすか」を事前に設計しておく必要があります。
サーブ戦術:3球目攻撃をペアで設計する
ダブルスのサーブ戦術の目的は「エースを直接取ること」ではありません。パートナーの3球目攻撃をアシストする布石を打つことが主な役割です。
サーブ前にパートナーへサインを送る習慣も大切です。指の本数で回転の種別、指の曲げ伸ばしで長短を伝えるなどルールを決めておくと、パートナーが3球目の準備を整えやすくなります。
短く低い縦回転サーブで相手の先手を封じる
ダブルス基本の「き」とも言えるサーブです。相手コートで2バウンドする短さと、台上を這うような低さの両立がきっと条件です。
コースはセンターライン付近を狙うと効果的です。相手が窮屈なフォームでレシーブせざるを得なくなり、打球後の移動距離も長くなります。その分パートナーへのボールが緩くなりやすく、3球目を攻撃しやすい展開が生まれます。
- 台上で2バウンドする短さを徹底する
- ネットすれすれの低い弾道を意識する
- コースはセンターライン付近を基本とする
- ナックルを時々混ぜて慣れさせない
横回転ロングサーブで奇襲をかける応用パターン
短いサーブを軸にしながら、ここぞという場面でロングサーブを奇襲として使うのが効果的な組み立てです。相手がバックハンドレシーブの構えを見せた瞬間に出すと特に効きます。
注意したいのは長さのメリハリです。「台から出るか出ないか」をはっきりさせましょう。中途半端な長さのサーブはかえって強打されるリスクが高く、パートナーへの負担になります。
- エンドライン手前で弾む「中途半端な長さ」のサーブ→強打されやすい
- 横回転サーブを多用しすぎる→3球目を打つパートナーが回転を読みにくくなる
- サーブ前にサインを出さない→パートナーが準備できず3球目が遅れる
レシーブ戦術:ツッツキ・ストップ・チキータで主導権を握る
ダブルスではサーブコースが半面に限定されるため、レシーブ側が有利とされています。この有利を最大限に活かすレシーブ設計が勝敗を大きく左右します。
レシーブの目的も「自分が直接点を取ること」ではありません。4球目を担当するパートナーが打ちやすい展開を作ることを優先して考えましょう。
ツッツキ・ストップで4球目に繋げる基本パターン
ツッツキ(下回転のまま返球する技術)は、相手の3球目攻撃のコースを最も読みやすくする技術です。フォア側へのツッツキは高確率でフォアハンドドライブを誘導でき、パートナーは「クロスへのドライブをブロックする」と的を絞って準備できます。
一方でストップは相手の選択肢(ストップ返し・フリック・流し・チキータ)を広げてしまい、パートナーが準備しにくくなるリスクがあります。ツッツキを基本としながら、慣れられないようストップや見せ球のフリックを混ぜるのが賢い使い方です。
チキータ・フリックで先攻する積極的パターン
短いサーブへの積極的な反撃としてチキータ(バックハンドで強い横回転をかけながら弾くレシーブ)が有効です。右利き同士のペアでチキータを使う場合は、回り込んでバック面で打つ形になります。
ただし、バック面でレシーブした後は自分のバックサイドが大きく空くリスクがある点に注意が必要です。また、チキータ・フリックを序盤から多用すると相手に読まれます。
ラリー戦術:ストレート攻撃とフォアハンド主体で決める
ラリーに入ったら「打ったらすぐ退く」意識を徹底してください。パートナーの打球スペースを確保することが、ラリー戦術のすべての土台になります。
攻撃コースはストレート(自分の正面方向)を優先するのが基本です。理由は次の3点です。
- クロスへの強打はパートナーの視界を遮るリスクがある
- ストレートを狙うと次の展開が読みやすくなる
- 相手が直前に打ったコースへの返球は相手のフットワークを崩しやすい
また、バックハンドよりフォアハンドを優先することも重要です。フォアハンドは打球点が高く、パワーも出しやすい。パートナーが次の準備をする時間が生まれ、展開がスムーズになります。
右左ペア(右利きと左利きの組み合わせ)の場合は、お互いがストレートに打ち合うことで動線が自然と整理されます。移動の動線が重なりにくく、スムーズなポジションチェンジが実現します。
- サーブ:短い縦回転サーブを主軸に、サインでパートナーと回転・長さを共有する
- レシーブ:ツッツキを基本に4球目担当パートナーが打ちやすい展開を作る
- ラリー:打ったらすぐ退き、ストレート&フォアハンド優先で展開する
ペアの組み方と動き方|フットワークで連携を生む
ダブルスはシングルスと同じ広さのコートで2人が交互に打ち合うため、1人あたりが動く範囲はシングルスより大きくなります。フットワークの質が、そのままペアの連携力に直結します。
動き方のパターンは利き手の組み合わせによって「右右ペア」と「右左ペア」で大きく異なります。まずはそれぞれの基本を理解することが、連携の第一歩です。
右右ペアと右左ペアそれぞれの基本の動き方
利き手の組み合わせが、ダブルスのフットワークパターンをほぼ決定づけます。自分たちのペアがどちらに当てはまるかを把握し、動き方の型を身につけましょう。
右利き×右利きペア(右右)の動き方
右右ペアは、打球後に円を描くように動く「回転移動」が基本です。フォアサイドで打ったあとは反時計回りに、バックサイドで打ったあとは時計回りに動きます。
打った後はいったん後ろに下がり、バック方向へ移動するのが基本ルートです。ただし選手同士が交差する場面が多く、フォアサイドを2球連続で突かれると前を横切る交差が発生しやすいという弱点があります。
- 短いラリーで得点を狙う「リスク攻撃」の意識を持つ
- バックハンドドライブ・フリックを強化して回り込みを減らす
- 飛びつき(足をクロスさせて移動する動作)を意識的に練習する
右利き×左利きペア(右左)の動き方
右左ペアは、打球後に右利きが左後ろ・左利きが右後ろに下がる「ハの字」の動きが基本です。2人の動線が交錯しにくく、少ない移動でラリーを続けられます。
左利きはフォアサイドへのボールも回り込んでフォアで処理しやすいため、レシーブで有利な体勢を作りやすいメリットもあります。
- 左利きのフォア前・フォアサイドへの返球が最大の弱点
- 左利きが大きく動くとハの字が崩れ、右利きの視界も遮られる
- 弱点コースを狙われないサーブ戦術と合わせて対策したい
打球後すぐに動き出す『打ちながら動く』意識の作り方
ダブルスで最優先すべき意識は「打ったらボールから離れ、パートナーの打球スペースを確保すること」です。動き出しが遅れると、パートナーの邪魔になるだけでなく自分の次の準備も遅れる悪循環に陥ります。
体勢が崩れた場面では、無理に決めにかかるより高い弧線で奥を狙うボールで時間を稼ぐのが有効です。パートナーが十分な体勢で次球を待てるようになります。
パートナーの打球を予測して次の準備ポジションを取るコツ
パートナーがどのコースに打ったかを確認すれば、次に返ってくるボールの確率が高いコースを絞れます。予測が早いほど、準備ポジションへの移動も早くなります。
たとえばパートナーが回り込んでカーブ気味のドライブをストレートに打った場合、次はフォアサイドに返ってきやすい傾向があります。こうしたコースの読みをペアで共有することが、連携の精度を高めます。
また、バック側のボールも回り込んでフォアで打てる状況を積極的に作ると、得点力が上がりやすくなります。ポイントのたびに立ち位置を確認し合い、短い声かけで次の準備を素早く整えましょう。
- 右右ペアは「回転移動」、右左ペアは「ハの字」が基本動作
- 打ったらすぐ動いてパートナーのスペースを作る
- 体勢が崩れたときは高いボールで時間を稼ぐ
- パートナーのコースを読んで先に準備ポジションへ動く

戦型別のダブルス戦術|組み合わせ別の最適な攻め方
個人の技術がどれだけ高くても、戦型の相性が合わなければダブルスでは勝てません。パートナーの強みを引き出し合える組み合わせ選びが、チームの総合力を大きく左右します。
このセクションでは「攻撃型×攻撃型」「攻撃型×前陣異質型」「攻撃型×カットマン」「右利き×左利き」の4パターンを詳しく解説します。自分たちのペアに当てはまる組み合わせを確認してみてください。
攻撃型×攻撃型:ドライブ主戦同士の連続攻撃パターン
同じ戦型のため、ラリーのリズムや展開イメージを共有しやすいのが最大のメリットです。パートナーの気持ちを理解しやすく、一体感が生まれやすい組み合わせといえます。
基本戦術は3球目攻撃を軸にした速攻です。下回転サーブからドライブで先手を取り、リズムに乗って連続攻撃を仕掛けます。強打できない場面では無理せずつないでチャンスを再構築する判断力も重要です。
一方、球質やタイミングが似ているため、相手ペアに慣れられるリスクがあります。コース・球速・回転量に変化を持たせることが課題です。
- 3球目攻撃(下回転サーブ→ドライブ)を軸にする
- コース・球速・回転量の変化で相手に慣れさせない
- 右右ペアは短いラリーで得点を狙う意識を持つ
攻撃型×前陣異質型:変化を活かした揺さぶり戦術
ドライブ主戦型の安定した攻守と、前陣異質型の変化球を組み合わせることで、常に攻撃できる体制と安定感を両立できるのがこの組み合わせの強みです。
代表的な展開例は次のとおりです。
- ドライブ主戦型が3球目攻撃で先手を取る
- 前陣異質型が速いテンポで打球し相手を揺さぶる
- 再びドライブ主戦型が決定打を放つ
「ドライブ型×表ソフト速攻型」は特に代表的な組み合わせです。表ソフトの速いテンポで相手のリズムを崩し、裏ソフトのドライブが仕留める緩急の差が大きなアドバンテージになります。
攻撃型×カットマン:粘りと攻撃を使い分けるペア戦術
攻守の役割分担が最も明確な組み合わせです。カットマンが粘り強いカット(下回転ボールで相手の攻撃を返す技術)で相手ペアを揺さぶり、チャンスボールをドライブ主戦型が強打する流れが基本形です。
サーブの選び方にも役割分担があります。
- カットマンがサーブするとき:攻撃型が3球目攻撃しやすい短いサーブを選ぶ
- 攻撃型がサーブするとき:カットマンがカットしやすい長いサーブを選ぶ
また、相手に「カットマンは強打してこない」と安心させないことも重要です。回転量に変化をつけたカットで揺さぶり、攻撃力も見せることで相手の判断を狂わせましょう。
- 相手ペアにカットマンを狙い撃ちされると一気に苦しくなる
- お互いがシングルスでも十分な実力を持つことが前提
右利き×左利きが「最強ペア」と言われる理由
右利き×左利きペアが「最強」と言われる理由は2つあります。
- 左利きが回り込んだ状態でレシーブしやすい
- お互いの動線が「ハの字」になり合理的に動ける
ダブルスのサーブはフォアサイドから対角に出すルールです。右利きはフォアサイドで台に覆いかぶさる形になりスイングが制限されます。一方、左利きは最初から回り込んだフォアハンドの体勢になるため、短いサーブにも長いサーブにも大きく体を使えます。
世界トップレベルでも左右ペアが好成績を残すケースが多く、左利き選手の希少価値は非常に高いといえます。左利きが複数いる場合は、左利き同士を組ませず別々のペアに分ける方が戦力を最大化できます。
| 組み合わせ | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
| 攻撃型×攻撃型 | リズムを共有しやすく一体感が出る | 球質が似るため変化が必要 |
| 攻撃型×前陣異質型 | 緩急と変化で相手を揺さぶれる | 役割分担の意識が重要 |
| 攻撃型×カットマン | 攻守の役割が明確 | シングルス実力が前提条件 |
| 右利き×左利き | 動線が合理的でレシーブで有利 | 左利きのフォア側を狙われやすい |
相手ペアを分析して戦術を変える方法
どれだけ自ペアの戦術を磨いても、相手ペアの特徴を無視して戦えば主導権は取れません。相手2人それぞれの弱点・得意パターン・フットワークの癖を把握し、狙いを定めることが試合全体の戦術設計の核心です。
試合前に入手できる情報(過去の対戦記録・他ペアとの試合映像など)があれば活用しましょう。情報がない場合は、試合序盤の1〜2ゲームを「情報収集ゲーム」と位置づけて観察します。
- 相手2選手がそれぞれどのサーブ・回転を苦手にしているか確認する
- フットワークの遅い選手・対応が苦手なコースがないか観察する
- 相手ペアのサーブとレシーブの組み合わせパターンを把握する
- セット間の休憩中に、パートナーと観察内容をぜひ共有する
把握した弱点は中盤以降に集中して狙いますが、同じコースばかりを続けると相手に慣れられます。「見せ球」として逆コースやロングサーブ・チキータを時折混ぜることで、相手に的を絞らせないことが重要です。
また、相手ペアの戦型(攻撃型・カットマン・異質型など)によって狙うべきコースや使うべきサーブが変わります。戦型別の対策は前セクション「戦型別のダブルス戦術」と組み合わせて活用してください。
- 序盤は「情報収集ゲーム」として相手2人の弱点を観察する
- どちらか一方の弱点を把握できれば戦術設計は十分に成立する
- セット間にパートナーと観察内容を共有し、中盤以降の狙いを統一する
- 弱点を集中的に狙いつつ「見せ球」で相手に的を絞らせない
試合中のサインとコミュニケーション|ペア間の情報共有を仕組み化する
ダブルスでは試合中にパートナーと戦術を共有し続けることが、連携精度を維持する上で欠かせません。声だけでなくサイン・ジェスチャーを体系化しておくことで、相手に戦術を読まれずに情報を伝えられます。
サーブ前のサインプレーを仕組み化する
サーブ前にぜひパートナーへサインを送る習慣をつけましょう。最低限決めておきたいのは次の3点です。
- 回転の種類:指の本数で下回転・ナックル・横回転などを区別する
- 長さ:指の曲げ伸ばしや開閉でショート・ロングを伝える
- 3球目の準備位置:自分がどこに動くかをジェスチャーで示す
このサインがあるだけで、パートナーは3球目攻撃の準備を整えやすくなります。急造ペアの場合でも「サーブの種類だけ話し合う」ことが最低ラインです。
ポイント間・セット間のコミュニケーションを活かす
ポイントごとにラケットで口元を隠しながら短く作戦を話し合う習慣も大切です。世界トップペアも実践しているこの習慣で、相手に戦術を読まれにくくなります。
セット間の1分間休憩(出典: 公益財団法人日本卓球協会「卓球の基本的なルール」)は「相手の弱点確認・戦術修正・ポジティブな声かけ」の3点セットで活用しましょう。ミス後はパートナーへの励ましと次の方針確認を忘れずに。批判や沈黙は連鎖ミスを招くリスクがあります。
- サーブ前のサインで回転・長さ・準備位置をパートナーに伝える
- ポイント間はラケットで口元を隠しながら短く作戦を共有する
- セット間の1分は弱点確認・戦術修正・ポジティブな声かけに充てる
- ミス後は励ましと次の方針確認をセットで行う
ゲーム進行局面別の試合運び|序盤から接戦まで
ダブルスで勝つには、その場その場の判断だけでなく、序盤から終盤までの「時間軸」を意識した戦略が欠かせません。1〜2ゲーム目で相手ペアの弱点を把握し、中盤以降に集中して狙っていくのが基本的な試合運びです。各局面でやるべきことを整理しておきましょう。
序盤(1〜2ゲーム目):得失点パターンを把握しながら得点する
1ゲーム目は「情報収集ゲーム」と位置づけるのがポイントです。得点を取りにいきながら、相手ペア2人それぞれのレシーブ・ラリー・フットワークの弱点を観察しましょう。
2人の弱点を同時に見つけなくても構いません。どちらか一方の弱点を把握できれば、それだけで戦術設計は十分に成立します。
- 相手の2選手がそれぞれどのサーブを苦手にしているか確認する
- フットワークの弱い選手・コースがないか観察する
- サーブ・レシーブの組み合わせが変わる2ゲーム目で、自ペアの得意・苦手な組み合わせも確認する
観察しながらも、自分たちの得意パターン(3球目攻撃・ツッツキ主体)は積極的に出してください。情報収集と得点取りを両立させるのが序盤の理想的な動き方です。
中盤以降:弱い方を集中的に狙い「見せ球」を組み合わせる
序盤で得た情報をもとに、フットワークの弱い選手や苦手なコースを優先的に狙っていきましょう。ただし、同じコースばかりを続けると相手に慣れられてしまいます。
「見せ球」として逆コースやロングサーブ・チキータを時折混ぜることで、相手に的を絞らせないことが重要です。レシーブもツッツキ一辺倒にならず、ストップやフリックを組み合わせてパターンを変えましょう。
また、点数状況によって戦い方の重心を変えることも大切です。
- リードしている場合:安定優先。ミスを減らしてリードを守る
- 追いかけている場合:リスクを背負って積極的な攻撃パターンを試す
接戦・デュース時:メンタルコントロールとタイムアウトの使い方
接戦やデュースになったときこそ、冷静な戦術判断とパートナーとの連携が勝敗を分けます。まずルールを確認しておきましょう。
デュース(10対10)になるとサーブは1本交替になります。通常の2本交替とは異なるため、あらかじめ頭に入れておいてください。
(出典: 公益財団法人日本卓球協会「卓球の基本的なルール」)
接戦時に急に新しい技術を試すのは禁物です。序盤から積み上げてきた安定パターン(ツッツキ主体・3球目攻撃)を軸に戦いましょう。プレッシャーがかかる場面ほど、慣れ親しんだプレーが力を発揮します。
タイムアウトと休憩時間の活用法も整理しておきましょう。
- 相手ペアが連続得点しているとき、または自ペアのミスが続いているときにタイムアウトを取って流れを断ち切る(タイムアウトの使用条件はJTTA競技規則を参照)
- セット間の1分間休憩は、戦術の見直し・相手の傾向確認・ポジティブな声かけに充てる
- ポイントごとにラケットで口元を隠しながら作戦を話し合う習慣をつける(世界トップペアも実践している方法で、アマチュアにも効果的)
- 急な戦術変更は避け、序盤から使ってきた安定パターンで戦う
- デュース時はサーブが1本交替になることを忘れない
- タイムアウトは「流れが悪い」と感じたらためらわず使う
- パートナーへの声かけ・ポジティブなジェスチャーでチームの雰囲気を維持する


ダブルス力を高めるペア練習メニュー|固定ペアで実力を底上げする
固定ペアで練習を重ねると、動き方・サイン・戦術パターンが体に染み込み、試合中の判断がぐっと速くなります。まずは基本ドリルから順番に積み上げていきましょう。
急造ペアで試合に臨む場合も、サーブの種類だけ事前に話し合っておくことが最低条件です。練習量に関わらず、その一手間が連携の土台になります。
基本練習:8の字フットワークドリルで連携を体に染み込ませる
2人の動線が上から見て「∞(8の字)」を描くように動く練習です。多球練習で1球ずつ交互に打ち、打ったらすぐバック側の斜め後方へ引きます。
段階的に習得するのがポイントです。まずフォアサイドで時計回りの動きを固め、次にバックサイドで反時計回りを加えます。
- 最初はゆっくりなピッチで動線を確認する
- 動きが安定したら徐々にピッチを上げる
- 1セッション5分×3セットを2〜3週間継続する
この練習中に、パートナーのスイング幅・足の速さ・必要なスペースも確認しておくと、試合でのポジショニングに活かせます。
パターン練習:3球目→5球目連続攻撃ドリルの具体的な手順
サーブから5球目攻撃までを1セットで繰り返すドリルです。得点パターンを明確にすることで、試合中の判断スピードが上がります。
基本的な流れは次のとおりです。
- 自分がサーブ(回転・長さを設計)
- 相手がレシーブ(例:ツッツキ)
- パートナーが3球目をフォアドライブで攻撃
- 自分が5球目をストレートに打ち込む
ドライブ主戦型ペアなら「短い下回転サーブ → ドライブ3球目 → 5球目ストレート強打」が基本パターンです。
さらにショートサーブ・ロングサーブ奇襲・センターライン狙いなど複数パターンを用意すると、試合形式に近い判断を伴う練習に発展させられます。パターンを増やすほどサイン・声かけの確認も深まります。

実戦練習:試合形式で戦術確認を繰り返す方法
ゲーム練習の目的を「勝ち負け」ではなく、「設計した戦術パターンが機能するかを確認する場」に置き換えましょう。
セット間にパートナーと短く振り返りを入れる習慣が、上達スピードを大きく変えます。
- 意図していたパターンが出せたか確認する
- 相手に何を狙われていたかを共有する
- サインが正しく伝わっていたか(種類・タイミング)を検証する
- 問題があればサイン体系をその場で修正する
固定ペアで練習量を積むほど「打ちながら動く」が無意識化されます。試合中の意識をプレーそのものに集中できるようになるのが、固定ペアの最大のメリットです。
- 8の字ドリル:ゆっくり→速くの段階的なピッチアップで自然な入れ替わりを習得
- パターン練習:サーブの種類と3球目・5球目の技術をセットで設計する
- ゲーム練習:勝敗より「戦術が機能したか」の確認を優先する
- 急造ペアの最低ライン:サーブの種類だけでもぜひ事前に共有する
よくある質問
ダブルスでサーブを出すとき、最も意識すべきことは何ですか?
最優先は「パートナーが3球目攻撃しやすい状況を作ること」です。自分が直接点を取ろうとするより、次のパートナーの展開を楽にするサーブが正解です。
基本は短さ・低さ・回転の変化の3要素を意識した、台上で2バウンドする短いサーブ。横回転サーブは相手のレシーブ選択肢を広げてしまいパートナーが3球目を処理しにくくなるため、下回転・ナックル中心が主流です。
ロングサーブは奇襲として有効ですが、あくまで基本はショートサーブ。サーブ前にサインでパートナーに種類を伝えておきましょう。
右利き同士のペアでも強豪ペアに勝てますか?
勝てます。ただし右右ペアはラリーが長くなるほど動線が交差しやすく不利になるため、短いラリーでの得点を意識することが重要です。
バックハンドドライブやフリックを磨いて無理な回り込みを減らすのがポイントです。バックハンド主体とフォアハンド主体のプレーヤーを組み合わせると、動線の衝突を最小化できます。
レシーブにチキータを組み込むと攻めの展開を作りやすくなります。相手の得意パターンに持ち込まれる前に、ヤマを張って先手を打つ意識を持ちましょう。
レシーブで迷ったときはどの技術を使えばよいですか?
「迷ったらツッツキ」が基本方針です。ツッツキは相手の3球目攻撃を最も限定でき、パートナーが的を絞りやすくなります。
一方、ストップは相手の返球選択肢(ストップ返し・フリック・流し・チキータなど)を増やし、パートナーが次球を予測しにくくなるリスクがあります。
ツッツキを軸にしながら、慣れられてきたタイミングでストップや見せ球のフリックを混ぜる戦略が効果的です。接戦・デュースの場面では、序盤から使っていない技術を突然試すのは避けましょう。
ペアとの連携が上手くいかない場合はどうすればよいですか?
まず8の字フットワーク練習で「打ったら退く」動きを体に染み込ませましょう。動線のぶつかりはほとんど、この「打った後の退き方」が原因です。
次に、サーブのサイン(回転・長さ)を最低限決めるだけでもレシーブ後の展開がスムーズになります。急造ペアでも「サーブの種類だけ話し合う」のが最低ラインです。
動線が衝突しやすい場合は、どちらがフォアで入りどちらが退くかの「役割」を、ポジション別に事前に決めておくと解決しやすくなります。互いのスイングの大きさや足の速さも確認してスペースの共有ルールを作りましょう。
試合中にパートナーとどんなコミュニケーションを取るべきですか?
最優先はサーブ前のサインで「どの回転・長さか」を伝えること。これだけで3球目以降の展開がお互いに予測しやすくなります。
ポイントごとにラケットで口元を隠しながら短く作戦を話し合う習慣も大切です。世界トップペアも実践しているこの習慣で、相手に戦術を読まれにくくなります。
セット間の1分休憩(出典: 公益財団法人日本卓球協会「卓球の基本的なルール」)は「相手の弱点確認・戦術修正・ポジティブな声かけ」の3点セットで活用しましょう。ミス後はパートナーへの励ましと次の方針確認を忘れずに。批判や沈黙は連鎖ミスを招くリスクがあります。
まとめ|卓球ダブルスで勝つ戦術の核心はペアとの連携にある
ダブルスは、シングルスとは根本的に異なる競技です。2人で1つのチームとして動くために、戦術はパートナーと一緒に作り上げるものという意識が何より大切になります。ここで記事全体の要点を振り返り、次の行動につなげましょう。
- ルールの理解が出発点:交互打球・対角サーブ・ローテーションの3ルールを正確に把握してから戦術を設計する
(出典: 公益財団法人日本卓球協会「競技規則(2025年6月1日改定)」) - 2つの基本思想を全局面に適用する:①パートナーが打ちやすいプレーを選ぶ、②まずミスをしないことを最優先にする
- サーブは3球目攻撃の布石:短く低い下回転を基本に、パートナーとサインを共有しながら組み立てる
- レシーブはツッツキを軸に:4球目の的を絞りやすくしつつ、慣れられないよう見せ球を混ぜる
- ラリーはストレート×フォアハンド優先:パートナーの視界を確保し、打ったらすぐ退く意識を徹底する
- フットワークは利き手の組み合わせで変わる:右右は8の字(クルクル回転)、右左はハの字(打ったら斜め後退)が基本
- 試合は情報収集→弱点攻略の流れで:序盤で相手を観察し、中盤以降に弱い側を集中的に狙いながら見せ球で揺さぶる
- 固定ペアで練習を積むことが最大の強化策:パターン練習・8の字ドリル・試合形式を繰り返し、戦術を体に染み込ませる
戦術の知識は、実際に体を動かして初めて使えるものになります。まずは小さな一歩から始めてみましょう。
- ペアとサーブのサインを決める
- 8の字フットワーク練習をスタートする
- 地域の大会やオープン戦に参加して実戦経験を積む
ダブルスの面白さは、勝利をパートナーと分かち合えることにあります。まずはペアと話し合い、今日から一つだけ戦術を試してみてください。その積み重ねが、試合での確かな自信につながります。

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